成功の秘訣②世間の常識を疑う:「世の中を『逆立ち』して眺める」
ジャック・マー氏が創設したアリババ社はユニークな文化と規則があることが知られていますが、その中でも最も「変わった」規則は、「
社員は入社3か月以内に逆立ちをマスターしなければならない」というものです。
なんと同社では、男性社員は30秒間、女性社員は10秒間逆立ちができるようにならなかった場合、どんな優秀な社員でも荷物をまとめて退社しないといけないそうです。
何故こんな規則があるのでしょうか? その理由をマー氏はこのように述べています。
「第一に、逆立ちは身体を鍛えることができる。何の道具も必要とせず、いつでもどこでもできるので、大変便利だ。第二に、逆立ちの練習を通して、
社員に物事をいろんな方向から考えること、別の見方で見ることを促せる。このようにしてイノベーション思考を養うのだ」
確かに、マー氏は物事への見方が非常に独特で、世間で言う「当たり前」をあえて疑うところに彼の強みがあります。
例えばマー氏は「勤勉は悪習だ」という言葉を残しており、その理由を「この世は怠け者によって支えられている」からだとしています。例えば、彼に言わせれば、ビル・ゲイツ氏はとんでもない怠け者です。何故ならゲイツ氏は「複雑なDOSのコマンドを覚えることが面倒で、図形のインターフェイスをプログラムした」からです。
同じように彼にかかれば、コカ・コーラは「お茶の奥深さやコーヒーの香りを学ぶことが面倒で、水に甘味料を入れて瓶詰めにして売った怠け者」ということになりますし、マクドナルドは、「フランス料理の美しさや中国料理の複雑な技巧を学ぼうともせず、2枚のパンに牛肉を挟んで売った怠け者」ということになります。
いささか一面的で過激な見方かもしれませんが、マー氏が言いたいのは、世間で言われる常識をただそのまま受け入れるのではなく、色々な角度から物事を見直すことで新しい価値やアイデアを生み出すことが出来る、ということなのでしょう。
実際にマー氏がC2Cサイト「タオバオ」を立ち上げたとき、すでにネットショッピングサービスでは「易趣」が中国市場の80%を独占し、折しも同社が世界最大のネットオークション会社イーベイと資本関係を結んだばかりで、誰もがマー氏のことを「頭がおかしい」と嗤いました。
ですが、マー氏はこうした批判を意にも介さず、イーベイと異なる決済方法を採り、儲けやコスト回収を二の次にして顧客満足度の高いサイト作りを追求した結果、最終的に「タオバオ」は逆に中国市場の80%を席巻し、アジア最大のショッピングサイトにまで成長することになるのです。