日ロ次官級協議再開 一度は潰えた「シベリア鉄道北海道延伸計画」実現の可能性は?

過去にもロシア側から打診はあった

「実は、シベリア鉄道の北海道延伸計画は、昨年末の日ロ首脳会談前に急に持ち上がった話ではなく2013年にもロシア側から打診があった。昨年7月、東京で開催された世界高速鉄道会議では、プーチン大統領の側近でロシア鉄道社長のウラジミール・ヤクーニン氏が『ロシアと日本を結ぶ将来の計画について、安倍首相と話した』と明かしていますし、首脳会談前にはロシア極東発展省の高官も『実現の可能性は大きい』と期待感を表明している。もちろん、額面通りに受け取ることはできないが、ロシアとの外交交渉では、相手国が投げてきた高めのボールを見逃し、無碍に断ると、交渉の本気度を疑われる……。ひいては領土交渉にも影響を与えかねないわけです。何より鉄道で物理的に両国が繋がることは、ロシアから見れば信頼醸成の証になりますから」(外務省関係者)  1月26日、昨年末の首脳会談で合意した北方領土での共同経済活動に関して、外務次官級協議がモスクワで開かれることが明らかとなった。共同経済活動の制度設計や、元島民らの「ビザなし交流」での空路利用についても協議するという。  2015年に鳩山由紀夫元首相のクリミア訪問に同行するなど、ロシア政府高官とのパイプを持ち、昨年末の首脳会談直前には、日ロ平和条約締結促進国民運動を行うなど、北方領土返還に尽力してきた民族派愛国者団体「一水会」の木村三浩代表が話す。 「先の日ロ首脳会談を失敗とする声もあるが、そもそもあの会談はようやく両国が交渉のスタートラインに立ったものと評価すべきです。70年間動かなかった交渉が、動きだそうとしているのです。首脳会談で評価すべき点は3つある。1つめは、協働経済活動が4島にひろがったこと。2つめは、ロシアの本音が窺え、北方4島を日米安保条約の適用外にしたい意向がわかったこと。そして3つめが、日ロ平和条約の締結に重要な意義があるとロシアが考えていることがわかったこと。私はこの3点を評価している。こうした条件が揃って、初めて両国は交渉のテーブルにつけるというわけです」
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「平和条約」が大きな鍵
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