アメリカのアボカドファンを支えているのはメキシコです。メキシコの土地は広大かつ気候も適しており、メキシコは世界最大のアボカド産地。
2016年にアメリカ農務省が公表したところ、メキシコのアボカド輸出全体で80%近くはアメリカ向けとされています。つまり、メキシコのアボカドを必要としているのは、アメリカ国民なわけです。
なお興味深いのは、日本も最近では多くのメキシコ産アボカドを消費している点。上記アメリカ農務省がいうところ、日本向け輸出は9%を占めるとされています。アメリカほどではないですが、日本は戦略的マーケットとして位置づけられています。
このメキシコからの輸入品に20%の課税するというのは、あくまでいくつもある考えの中の1つとなります。しかし、前述したように、アメリカには多くのアボカドファンがいます。アボカドは今やアメリカの日常生活に根付いています。
アボカド以外の農産物なども影響を受けます。メキシコ産が多く出回っているトマトなどもいい例です。どんなにメキシコとの国境に壁を作ってほしいと思っている人でも、アボカドやトマトの値段が上がってうれしい人なんていないでしょう。
結局、“単純に”メキシコからの輸入品に20%の課税をするという政策は、国民の大多数を敵にするがため、実行できないでしょう。
万が一この種の政策が実行されるとすれば、国民の反感を避ける修正事項が必要となります。そうでないと、何のための国境の壁なのかが分からなくなります。
<文・岡本泰輔>
【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、
Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。