「老朽ダム維持管理」の時代でも、必要性の怪しい新規ダム建設は止まらず

まさのあつこ

既存のダムの維持・再生の時代に突入

佐久間ダム湖

佐久間ダム湖に砂丘のように貯まった土砂(2010年筆者撮影)

 安倍政権が「経済再生と財政健全化の両立を実現する」と謳った2017年度予算。ダム事業予算は2016年度から93億円増額され、1518億円となった。「ムダな公共事業」が特に多いと批判されるダム事業予算だが、2017年度はどういったことに使われるのだろうか。

 国土交通省の水管理・国土保全局が発表した一覧を見ると、近年、顕著な一つの傾向が見える。既存のダムの「再編」や「改造」事業だ。予算で言えば2割弱に過ぎないが、件数で言えば約3分の1にのぼる。ダム公共事業は「老朽ダムの維持管理時代」に突入しているのだ。

2017年度国土交通省・水資源機構ダム事業予算

2017年度国土交通省・水資源機構ダム事業予算

 例えば「天竜川ダム再編」(中部地方整備局)は、ダム湖に堆積した土砂を取り除く事業を意味する。天竜川上流2つのダムは土砂で埋まり、ダムとしての機能を失っている。山から出てくる土砂は、3つ目の佐久間ダムに全量が流れ込んで堆積している。そこで佐久間ダムを持つ電源開発株式会社によって掘削や浚渫が行われる一方、砂を下流のダムに送る「排砂トンネル」の建設などに国の予算をつけてきた。

 こうした予算を水管理・国土保全局は「公共施設のストック管理・適正化」などの名称で確保してきたが、2017年度では新たに「既設ダムの更なる有効活用方策を示す」として「ダム再生ビジョン」の名で予算獲得を求めている。今後も老朽化ダムの維持管理にかかわる費用は増大していくことだろう。

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必要性の怪しい、新規ダム建設の見直しも進まず

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