厚労省の傲慢――業界事情を考慮しない全面禁煙の押しつけに飲食関係団体が緊急集会

緊急集会の会場は大盛況

 12日、社団法人日本フードサービス協会ほか、複数の飲食関連団体の共催による「受動喫煙防止強化に対する緊急集会」が都内で行われ、「サービス業に対し、一律に原則建物内禁煙を課すことなく、これまで取り組んできた業界の自主的な取り組みについて、一層の理解と支援と賛同を求める!」という決議を採択した。  会場となったイベントホールは開会20分前にはすでに満席状態。その後も大勢の飲食店関係者が詰めかけて、会場後方は立ったまま参加する人たちで埋め尽くされ、各団体の代表者による意見表明や、ゲストとして迎えられた自民党・石破茂衆院議員をはじめ3人の与党議員の話に熱心に耳を傾けていた。  この集会のきっかけとなったのが、厚生労働省が昨年10月、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて打ち出した受動喫煙防止強化の具体案だ。そこに盛られた内容は、飲食店などに関しては喫煙室を設ける場合以外は原則建物内禁煙にするというもの。これを法制化して、違反した経営者や喫煙者には罰則を課すという。  強化案については、昨年2回にわたって公開ヒアリングが行われていて、飲食関係団体も厚労省の健康局健康課長を中心にしたワーキンググループに招かれた。そこで受動喫煙問題への自主的な取り組みや、個人経営の小規模店舗での喫煙室設置の難しさなど意見を述べたのだが、厚労省側は全面禁煙ありきで木で鼻をくくったような対応。業界がかなりの危機感を募らせたであろうことは想像に難くない。  飲食業界にしても、受動喫煙防止強化そのものに反対しているわけではない。集会の趣旨は、その強化案の在り方へ疑問を呈することだ。  日本フードサービス協会の菊池唯夫会長は、「役所や病院など公共性が高く、利用者に選択の余地がない施設ならわかるが、飲食店は顧客が嗜好に合わせて自由に選択できる多様性が魅力でもある。これに同質の規制を設けるのはおかしいのではないか」と指摘。個人経営の加盟店が多い全国飲食業生活衛生同業組合連合会の森川進理事長は「場所、資金の面から喫煙室の設置が困難な店舗はどうすればいいのか」と訴えた。  要するに彼らが問うているのは、「健康もいいけど、俺らの生活はどうすんの!?」ということに尽きる。そこをクリアしなければ議論は進んでいかない。
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