北朝鮮でスマホ向けサービスが多様化する中で、特に「ネット」を活用したサービスが増えた。とはいえ、北朝鮮の一般人は教育機関など一部を除いて基本的にインターネットは利用不可である。「ネット」とは「イントラネット」なのである。北朝鮮におけるイントラネットは企業が導入する社内ネットワークの国家版とイメージすれば分かりやすいだろう。
北朝鮮のスマホ「Pyongyang2404」にはあらかじめ労働新聞がブックマークに登録されている
イントラネットを活用したアプリやウェブサイトが登場し、イントラネット経由でオンラインショッピング、学習や様々な情報の検索などを利用できるのだ。
人気が高いオンラインショッピングの「玉流」はアプリで提供されており、デジタル製品や食品など分野を問わず商品の比較から購入までスマホで行える。主要なウェブサイトとしては科学技術の資料閲覧や勉学に使える「熱風」、金策工業総合大学の授業を受講できる「遠隔大学」、ニュースを確認できる「朝鮮中央通信社」や「労働新聞」などが用意されており、列挙しだすと際限がない。
「Arirang AS1201」は北朝鮮のスマホとして代表的な存在で、ポスターなどに描かれることも多い
逓オ技術合弁会社は直営店でイントラネットを利用するためのデータ通信サービスを説明するポスターを掲示し、データ通信サービスを推進している。ポスターには料金体系や申請方法のほか一部ウェブサイトのURLも案内し、イントラネット経由の様々なサービスの存在を確認できた。なお、一部ウェブサイトは北朝鮮で売られるスマホのブックマークに初期状態で登録済みの場合もある。
携帯電話事業者によるデータ通信サービスの積極的な推進はネットを楽しむスマホ利用者の増加に貢献し、携帯電話事業者としてはデータ通信サービスによる収入拡大が期待できる。ネットを活用したサービスの拡充は北朝鮮の人々の生活を豊かにするだけではなく、携帯電話事業者の経営面にも貢献する。