トランプ政権が思い描く、中南米政策の限界点

トランプ氏

事前予想を覆し、大統領の座を射止めたトランプ氏。恵まれないアメリカ地方有権者らの期待に応えられるのか

 選挙期間中、「メキシコからの不法移民を全員追い出す」、「国境に新たに壁を作る」などの“暴言”が注目されたトランプ氏。彼の中のそうした“理想”と現実のギャップについて、日本貿易振興機構(JETRO)ラテンアメリカ研究グループの星野妙子氏が説明する。

「まず理解しておきたいのは、30か国以上ある中南米のなかでもメキシコだけ特殊な立ち位置にあるということです」

 メキシコは輸出の8割、輸入の5割をアメリカに依存しており、アメリカ経済と極めて密接な関係にある。さらに、不法移民を送還する件に関しては「メキシコ人不法移民は650万~700万人と言われています。それだけの人数を送還するのは、あまり現実的ではない。それに不法移民の多くは、いわゆる3K職場で働いています。農場や屠畜場、建設作業現場、レストランやクリーニング店、個人宅のメイドなど、白人の米国人がやりたがらない職場で、アメリカ経済を下支えしているのです」と話す。彼らを送還すれば、雇用主からの反発も必至だ。

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メキシコ以外の地域で中国が台頭する恐れ

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