タイの「ビザなし滞在」規制、噂の錯綜に日本企業も大混乱

タイ

タイ屈指のリゾート、サムイ島。年1回の観光ならビザ無し滞在も何ら問題なしだが……

 先日、日刊SPA!において「タイで「外こもり」締め出し政策が施行! ビザなし日本人滞在者はどうなる?」という記事を報じた(http://nikkan-spa.jp/708555)。その後、さらに短期出張者を派遣する日本企業も巻き込んで混乱した状況になっているという。  8月13日にビザラン(ノービザで滞在可能な30日間が過ぎる前に出入国をして長期滞在をすること)規制を始めると発表されたことで、実施直前までタイ国内の日本人ビジネスマンたちは少ない情報の中で右往左往した。タイにある某日系企業の社員もまたその情報に惑わされたうちの一人だ。その理由は、出張者への対応が不透明だったから。 「ビザなしでも問題ないとか、在タイ日本大使館は出張者に取得するよう話しているなどと情報が錯綜しました」  筆者が確認した限りでは在タイ日本大使館がそのような内容を正式に発表した事実は掴めていない。ただ、大使館ホームページには「観光目的以外でタイへの渡航を予定されている場合は、目的に合ったビザを取得するようご留意下さい。」という文面は確認できる。これが確定的なニュアンスに湾曲されて広まった可能性がある。  いずれにせよ、ビジネスなどで海外に長期滞在する場合、日本大使館の情報と影響力の恩恵を受ける場面というのは意外と多い。そんな大使館がビザを取得するべきだと言ったという話があれば多くがそれに従おうと考える。  小さな会社なら大きな影響はないが、今回のビザラン規制の噂では大きな会社がその噂に翻弄されてしまった。大企業ともなれば取引先や関連会社を含めると、毎月の出張者数はかなりの数になる。タイに生産拠点を持つ某自動車メーカーは関連会社にまでビザ取得のお触れを出した。そのため、8月に入ってから東京都目黒区にあるタイ大使館が大混雑となったそうだ。  その結果、タイ大使館は短期出張者へのビザ発給は一切しないという異例の対応が始まっている。  タイ国内ではタイ工業省傘下の投資誘致機関であるタイ投資委員会(BOI)が日系企業向け定例会で「短期出張者がビザなし入国することは法的に認められていること」という発言をしたと日系企業の参加者は証言している。  しかし、前回伝えたように、タイでは法令が曖昧なため係官によって法解釈が違い、対応も変わってくるという問題がある。出張者が短期出張だと証明する術は口頭説明しかない。筆者が東京のタイ大使館に電話をしてみたところ、次のように返ってきている。 「短期出張者はビザなしで入国することはまったく問題はありません。しかし、入国できるかどうかは入国審査官の判断次第です」  大使館はタイ外務省の管轄下であり、入国できるかどうかはタイ国家警察庁入国管理局の担当官の判断によることになる。パスポートの渡航履歴を見ればタイ国内に生活拠点を持っていないことは一目瞭然だが、月に2回3回とタイを訪れなければならない出張者はどう見られるのか。それがまったくの現場任せということになる。  いずれにせよ日本のタイ大使館ではビザは取れない。一か八かでタイまで来るしかないことになるわけだ。  結局、今しばらくタイのビザなし入国は混乱の様相を呈しそうだ。 <取材・文・撮影/高田胤臣>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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