mits / PIXTA(ピクスタ)
2015年の国際的な学習到達度調査(PISA)での結果が12月6日に公表された。
PISAはOECD加盟国の15歳児について「読解力」「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」の3分野を調査するものだ。「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」の2分野の平均点の順位は「脱ゆとり政策」を採用してから回復基調にあり、今回も過去最高だったが、「読解力」の平均点は前回より低下した。文部科学省は基本的には「脱ゆとり路線」が功を奏しているとみているものの、さらなる読解力向上を図るとしている。
こうした報道に対し、「ゆとり世代」と揶揄される若者たちからは「自分たちは失敗作なのか」という怒りの声も噴出している。
そもそも戦後日本の教育は、10年に一度改訂される「学習指導要領」によってそのスタンスを大きく変化させてきた。高校で物理、化学、生物、地学が必修とされた「昭和43年改訂」をピークに授業時数は10年ごとに1割ずつ減少してきたが、平成10年改訂で前年の2割減、いわゆる「ゆとり教育」が導入された。その結果、日本の学力低下問題が顕著になったのは周知の通りで、文科省では平成20年改訂(現行の指導要領)から「脱ゆとり」方針に転換している。
そして2年後に迫った平成30年改訂では、また大きな変化がありそうだ。
脱ゆとり教育から授業時数をふたたび増加させ、「考える力」を育てる言語活動(文章力の強化)に力点を置いてきたが、次の改訂で、知識偏重の詰め込み型教育から、思考力・判断力重視型への本格的な転換を図るというのだ。