人妻キャバ嬢と本気で結婚したい――石原壮一郎の【名言に訊け】
2014.11.10
Q:先輩に連れて行ってもらった熟女キャバクラで、S美さんとの運命の出会いがありました。その後もちょくちょくお店に通って、今は深い仲です。S美さんは「あーあ、ダンナさえいなければ、Eさん(私)と結婚できるのにな」と言ってくれます。「ダンナさんにきちんと話をしよう」と持ちかけたのですが、「ダメよ。ウチのダンナ怖いから。殺されちゃうわよ」と拒否されました。どうすれば結婚できるでしょうか? そもそもS美さんの言葉を信じていいんでしょうか? ちなみに、ノルマがあるからということで、お店にも週一ぐらいのペースで通っています。(埼玉県・38歳男・自営業)
A:いろんな意味で危険な香りが漂う相談ですね。ちょうど隣りに、長いあいだホステスをなさっていて今は孫の世話で忙しい小百合お姉さんがいらっしゃるので、彼女に答えてもらいましょう。
「小百合です。こんにちは。そのS美さんがおいくつかは存じ上げませんけど、お客さんと簡単に深い仲におなりになるのは、感心しませんわね。私たちのころは、もっと引っ張って引っ張って……あら、ごめんなさい。S美さんは本気であなたのことが好きで付き合っているというお話でしたわね。少なくとも、あなたはそう思っている、と。
お話だけ伺っていると、正直、騙されているのかなと思うし、お友達に相談しても、きっと10人が10人、騙されているとおっしゃるでしょうね。でも、こればっかりはわかりません。あなたが彼女を信じたいのなら、とことん信じてあげてくださいな。
私、昔からスピリチュアリストの江原啓之さんが大好きなんですけど、江原さんの言葉に、こういうのがありますわよ。
『あなたのたましいに嘘をついていないか。それを基準にして生きるほうが、ずっと楽なのです』
恋愛でも仕事でも人間関係でも、何が正解かわからないことって、人生にはありますわよね。そんな時は誰になんて言われようと、自分が信じるほうに突き進むのが、いちばん後悔が少ないんじゃないかしら。江原さんは『他人や世間がどう思うかは、二の次、三の次。そんなふうに考えるくらいでちょうどいいのです』ともおっしゃってます。
周囲の雑音に惑わされて、S美さんの身辺を調査したり、試すようなことを言ってみたりしたくなるかもしれませんけど、仮にそれでS美さんの言うことが本当だったとわかっても、心から信頼できない人と結婚したって幸せにはなれないでしょうね。
騙されていたとしても、いいじゃありませんか。S美さんのおかげで、人を心から好きになって、その人を信じるというきれいな気持ちを抱かせてもらっているんですから。お金を貢がされるとか、そういう流れになってきたら、また話が別ですわよ。夢が覚めるまでは、夢を見続けてくださいな。痛い目にあったらあったで、それもまた勉強ですわ。
あら、なんだか騙されているのが前提みたいな言い方に聞こえそうね。ただのババアの老婆心だから気にしないでちょうだい。おふたりの幸せをいちおうお祈り申し上げます。」
物事は、どっちに転んでもプラスとマイナスがあります。自分が信じたほうを選べば、最大限のプラスを得られて、マイナスは最小限に抑えられるでしょう。また、小百合さんの回答からは、明らかに「止めておけ」と言ってほしがっている人には、あえて背中を押すようなことを言ってあげると、止める決断をする助けになる、ということも学べます。
【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。
いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
【今回の大人メソッド】正解がわからないときは、自分が信じたいものを信じればよし
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