震災前の観光客水準まで回復した世界遺産の日光。当地の外国人観光客も風評被害はもはや気にせず

一軒家を改装したステイ日光ゲストハウス(提供ステイ日光ゲストハウス)

 東武日光駅から徒歩8分ほど穏やかに流れる大谷川の近くに位置する「ステイ日光ゲストハウス」に宿泊していた外国人観光客に風評被害について聞いてみた。 「友だちが日光の紅葉を見てきて素晴らしかった。まったく問題ないと聞いたので安心してきました」(台湾人) 「『ロンリープラネット』で日光を大きく取り上げており、実際に日光について調べると震災の影響はないことが分かったので東京、日光、軽井沢のコースで楽しんでいます」(ドイツ人)  台湾人やタイ人などは実際に日光を訪れた人からの口コミ情報を信じて訪れている人が多く、欧州人は、ガイドブックなどを参考に自ら調べて、日光単体ではなく、JRが外国人観光客向けに提供する「ジャパンレールパス」などを利用して、東京から日光、軽井沢、信州、北陸など複数の観光地を時間をかけて巡る人が多いという。同ゲストハウス代表の常木さんによると外国人宿泊客との会話で、今、震災の風評被害のことが話題になることは、ほとんどないそうだ。  震災から5年半、客足は確実に戻ってきている。日光に宿泊する主要外国人では韓国人のみが、震災前の水準を回復していない。また、興味深いことに2015年訪日客で国別1位590万人の中国人が少ないことだ。栃木県の統計によると、昨年、日光に宿泊した中国人は4944人で香港人4408人とほぼ同数だった(台湾人1万8659人)。中国人は栃木県の中でも宇都宮など都市部に多く、那須高原など、景勝地は、香港や台湾人が多いという。しかし、中国人観光客による日本人ツアーも「爆買い」から、「体験型」にシフトしつつある。震災前水準への回復からさらなる飛躍をする鍵はここらへんにあるのかもしれない。 <取材・文・撮影/我妻伊都 TwitterID:@ito_wagatsuma 取材協力/ステイ日光ゲストハウス
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