カスタムIEMの特長は、何と言ってもまずその装着性の高さ。自分の耳型に合わせて成型するわけだから当然だが、驚くほど遮音性が高い。なので、多くのカスタムIEMメーカーでは屋外での歩きながらの使用を避けるよう呼びかけているぐらいである。
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インプレッションと呼ばれる耳型は、ヘッドホン&イヤホン専門店で定期的に開かれる採取会や補聴器の取扱店で採取することができる
聴感上の静けさが増すことは、もちろん音質的にも大きなメリットで、まるで顕微鏡をのぞくような感覚で細かい音に耳を澄ますことができる。また、ほとんどのカスタムIEMが採用するBA型(バランスド・アーマチュア)というドライバー型式は、通常のダイナミック型イヤホンに比べて音の分離がよく、解像度の高さや高域方向の繊細さが持ち味とされているので、そういうミクロな聴き方をしたい向きにもうってつけというわけだ。
カスタムIEMがスゴいということはなんとなくわかったけど、「やっぱりイヤホンひとつにそんな大金は……」という方も、まずは一度、冒頭で触れた12月の「2016 冬のポタフェス」に足を運んでみてはいかがだろう。
「スマホの付属イヤホンの音質に満足できていない」、「Apple MusicやSpotifyといった定額ストリーミングサービスをよりいい音で楽しみたい」、「話題のハイレゾをそろそろ聴いてみたい」、「ワークアウト用に使える音のいいBluetoothイヤホンを探している」といったさまざまな要望に応えるポータブルオーディオの最前線を体験していただけると思う。
若い頃にハイファイオーディオに熱中した60代の方から、ミニコンポすら所有したことがないデジタルネイティブな20代まで。カスタムIEMをはじめとするポータブルオーディオの世界には、あらゆる世代の音楽好きやガジェット好きを取り込む奥深い魅力が詰まっている。
<TEXT/伊藤隆剛>
【伊藤隆剛】
いとうりゅうご●ライター。出版社、広告制作会社を経て、’13年にライター/エディターとして独立。音楽、映画、オーディオ、デジタルガジェットの話題を中心に、専門誌やオンラインメディアに多数寄稿