吉田 恒氏
円安が10月初めの110円程度に戻ってきました。まだまだ円安は続くのか、それとも円高への転換点を迎えているのか。円高への転換について、こんな判定方法を今回はご紹介します。
中期のドル高・円安が終わり、ドル安・円高へ基調が転換する局面では、3か月程度で10%前後といった「最後のドル急騰」、「最初のドル急落」が起こる傾向があった。その意味では、10月初めにかけてのドル高は「最後のドル急騰」だった可能性がある。ただそれを確認するのは、105円を完全に割り込む「最初のドル急落」が起こるかだ。
過去3回の中期のドル高・円安ピーク前3か月では6-12%のドル上昇が起こり、そしてピーク後3か月では5-22%のドル下落が起こっていた
<資料参照>。これを参考にすると、中期の円安から円高への基調転換前後では、上述のように「最後のドル急騰」、「最初のドル急落」が起こりやすかったといえるだろう。
その観点からすると、今年1月にかけて105円までドル一段高となった動きも、中期円安終了における「最後のドル急騰」の可能性が注目された。中期円安終了のもう一つの共通点、日米生産者物価基準の購買力平価よりドル高・円安という点も、1月の105円はクリアしていた。
ただ1月からのドル反落は100円割れに至らず、最大下落率は5%以上に拡大することはなかった。つまり、中期円高基調に共通する「最初のドル急落」は起こらなかったわけだ。
今回、10月1日にかけて110円程度までドル一段高となった動きは、3か月程度でのドル最大上昇率が8%以上となり、中期円安終了の際の「最後のドル急騰」の可能性があるものだ。その後のドル反落は105円割れには今のところ至っていない。
この先、105円を大きく割れるドル安・円高になるようなら、ドルの最大下落率は5%を大きく超えて、中期円高基調における「最初のドル急落」の可能性が高まる。以上のように見ると、年内105円を大きく割れるドル安・円高に向かうかは、中期のトレンドを考えるうえでも重要な意味がありそうだ。(了)
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<資料>
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に
『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
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