続いて、ITと金融工学を融合させたプログラムトレード技術「カブロボ」を開発した加藤浩一氏に聞いた。
「MACD、ストキャスティクスなどテクニカル指標はさまざまありますが、一つのチャート分析手法だと得意/不得意、先行性/遅行性などがあるため、単独で万能なものはないというのが私の見解です。それぞれの得意分野と不得意分野を見極めて、複数を組み合わせるのが大事になります。よく知られた手法でも、二つを組み合わせることでかなり安定した投資戦略になります」
日経225ETFを毎回100株ずつ買うバックテストを繰り返したところ、好成績だったのがボリンジャーバンドとRSIの組み合わせだったという。
ボリンジャーバンドの逆張りとRSIを組み合わせた売買を検証。ルールどおりに売買した一例。
「ボリンジャーバンドは中心線を12日、乖離率を1.9σとして、下側を一端突き抜けて、その後に戻ってきたら『買いシグナル①』。次に、RSIの対象期間を21日として、比較的長い期間でRSIが49%を上回っている、つまり下落局面ではないと判断できるときを『買いシグナル②』とし、①と②の両方が揃ったときに実際に買うのです」(加藤氏)
利益確定は、難しいことを抜きにして買いシグナルの19営業日後に無条件に決済するとした。取引回数は合計61回あり、売買の一例と資産推移の結果は図のようになった。目を見張るのは、大きなショック時にもそれほど資産を減らしていないことだ。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/114668/mane_161101_02
’06年以降の資産推移。大きなショック時でも資産の大幅減少はほとんどなく、安定した成果に。毎回100株の売買でも11年弱で約1.5倍に資産を増やすことができる
「利益確定・損切りを一定期間後に必ず行いました。ボリンジャーバンドは12日、RSIは21日を対象期間として設定したとおり、この投資戦略における“波”は2~3週間。つまり、“波”に近い一定日数で機械的に利益確定・損切りしてもパフォーマンスは損なわれないことが多いのです」(同)
どんな相場でも使える百戦百勝の必勝トレードはないが、過去のデータや傾向、業績を徹底的に分析すれば、勝率を高める方法は確かにあるといえるだろう。
日本アセットマーケティング(東マ・8922)
ドン・キホーテHD傘下でビル賃貸や不動産管理を行う。PBR2倍と割高だが、ドンキの出店拡大に合わせて業績拡大が見込める。
現在株価123円(売買単位100株)
ジェコス(東1・9991)
仮設鋼材リースの最大手。PBRは0.77倍と資産的にはバリューではないが、建機レンタルが堅調で、マイナス金利も追い風に。
現在株価920円(売買単位100株)
第一カッター興業(JQ・1716)
ダイヤモンドや水圧を使ってコンクリート構造物の切断・穿孔工事を受注。高速道路や橋梁の補修工事も。PBRは0.77倍。
現在株価1123円(売買単位100株)
安田倉庫(東1・9324)
株や不動産の含み益は抜群にあるが、評価されていない。また、「安田」の冠がついた上場企業は同社のみ。買収の可能性も?
現在株価623円(売買単位100株)
【かぶ1000氏】
専業投資家。中学2年から株式投資を始め、投資歴は28年を超える専業投資家。現在の資産は約2.6億円。資産バリュー株への投資を得意としている。ツイッターは@kabu1000
http://plaza.rakuten.co.jp/kabu1000
【Akito氏】
専業トレーダー。10月に運用資産2億円を達成。ファンダメンタルズに基づくスイング投資を得意とする。そのほかにもイベントを狙ったり、デイトレや先物など、幅広いトレードをする。ツイッターは@Akito8868
【加藤浩一氏】
ロボットファンド開発者。早稲田情報技術研究所代表取締役社長。ITと金融工学を融合させ、日本初となるロボット運用による投資信託「カブロボファンド」を商品化。著書に『
ロボット運用のプロが分析してわかった 最強の株式投資法』
取材・文/必勝トレード取材班 チャート・図版協力/マネックス証券 ダイヤモンド社 ※株価などのデータは10月17日終値時点