西麻布に「ビットコインATM」が登場

ビットコインATM

東京・西麻布「VERANDA」に設置されたビットコインATMこと「Robocoin」

 今年2月に取引所大手のマウントゴックスが経営破綻し、大暴落したビットコイン。昨年11月のピーク、1ビットコイン=1200ドルから180ドル(マウントゴック内の価格)まで急落したため、「バブルは終わった」などと思っている人も多いだろう。マウントゴックスの破綻で入金した10万円を失った筆者も、そう思った……。だが、侮るなかれ。実際には買い戻しが入り、直近は600ドル前後で推移。さらにはその人気ぶりを示すように、6月18日には東京に「ビットコインATM」が登場した。  場所は東京・西麻布交差点から徒歩0分の好立地にあるダイニングバー「VERANDA」。入り口を入ってすぐ右手に、ダーツマシンと並んで、そのATM「Robocoin」は鎮座していた。  ATMには約50ページの「マニュアル」がぶら下がっている。それを見ながらATMを扱えば、すぐにビットコインが購入できるのだが、さすがに50ページも読む気がしない……。ATMの入力画面をタッチすれば手順が表示されるので、とりあえずタッチしてみよう。  最初に「ビットコインの買い」を選んでみる。するとまず求められるのはケータイ番号。ビットコインを購入する前に、本人確認の手続きが必要なのだ。  その手順を簡単に記すと(1)ケータイ番号の入力、(2)入力したケータイにSMSで届く「認証コード」の入力、(3)右手の掌紋スキャン(4回!)、(4)免許証のスキャン、(5)顔写真の撮影……。少々面倒だが、これが最初のステップ。  なお、ATMを利用する前にビットコイン専用の「ウォレット」というサービスに登録しておこう。日本でRobocoinの運営・管理を行っているビットチェック社では、独自のウォレット「bitcheck wallet」を提供しているが、coinpocketやblockchainなど、ほかのウォレットでも問題ない。購入したビットコインはこのウォレットに入金されるので必須だ。  Robocoinでの本人確認には約10分の時間を要する。ビットチェック社の峰松浩樹社長曰く「人力で本人確認を行っているため」。スキャンされた免許証の顔写真とその場で撮影した写真の照合、スキャンにより読み取った住所等の確認などは運営サイドが人力で行っているのだとか。ちなみに今回は更新し忘れた運転免許証を使ってみたが……本人確認は問題なくできた。  本人確認の完了のお知らせがSMSで届いたら、ようやくビットコインの購入が可能になる。
ビットコインATM

画面右の掌紋認証システムは富士通製。初めて利用する際には、本人確認とビットコイン購入時と、2回の掌紋認証が必要になる

 再度、「ビットコインの買い」をタッチし、ケータイ番号、認証コードを入力し、掌紋スキャンなどを実施した後、スマホを用意。ウォレットを開いて、受け取り用のQRコードを表示させよう。Bitcheck walletなら「menu」ボタンから「受け取る」をタップしたら表示できる。Coinpocketなら「receive」をタップすれば表示可能。そのQRコードをRobocoinの入力画面下の読み取りリーダーにかざすのだ。これで、Robocoinがビットコインの入金先を認識する。
ビットコインATM

画面右下のリーダーに、自分のスマホのウォレットで表示させたQRコードを読み取らせて、ビットコインの送信先を設定する

 購入金額を入力し、お金を入れたら約10分でウォレットに反映される。今回は一日の購入可能額の上限である1万円を投入。すると振り込まれたのは、0.16641438ビットコイン。ここで、Robocoinが5%の手数料をとっていたことに気づく……。  この日のビットコイン相場は1ビットコイン=560ドル。日本円に直せば、約5万7000円だ。ここに0.16641438をかけると、9485円。1万円との差額である515円がRobocoinの手数料として差し引かれたわけだ。
ビットコインATM

お金を入金し、取引が完了すると、このようなレシートが発行される。入金額と取引レートなどが記されている

 5%の手数料は若干高めだが……マウントゴックスに10万円持っていかれたことを考えれば、わずか20分足らずの作業でビットコインが自分のウォレットに振り込まれる感激はひとしお! 付け加えておくと、実際には5%の手数料は決して高くないとも。ビットチェック社の峰松社長が話す。 「実は、Robocoinをカナダの本社で買い付けて、日本に持ち込み、ATMとして運営している業者がほかにもあるのですが、そのATMだとビットコインを買うレートと売るレートが大きく離れているんです。実際には10%ほどの手数料が取られていると考えていいでしょう」  このほかにもbitcheck wallet上ではクレジットカードでビットコインを瞬時に購入することも可能だが、この際にも5%以上手数料がかかる。一方で、「Payびっと」「BtcBox」という取引所が日本にも登場しているが、どちらも口座開設に1週間近い時間を要する。  Robocoinは「本体が300万円で、カナダからの輸送料が約60万円」(峰松社長)。1週間たった現在の1日当たりの利用者は数人だ……。とても採算の合うビジネスではないので、すぐにビットコインを手に入れられるコストが5%の手数料と考えれば高くないかもしれない。  当然、手に入れたビットコインはその場で使用することも可能だ。実際、筆者はVERANDAで1100円分の食事代だけをビットコインで支払ってみた。レジ前の端末に表示されたQRコードを自分のウォレットで読み込み、「1100円」を入金。通常ならビットコインの取引情報の処理には10分の時間を要するが、VERANDAの端末は運営会社が立て替え払いをする仕組みを導入することで、取引時間を短縮。何のストレスもなく、ビットコインの支払いは完了できた。
ビットコインATM

ビットコインでお買い物する際は、自分のウォレットでレジ前の端末に表示されたQRコードを読み取り、支払額をスマホ上で入力して送信するのみ。VERANDAでは10秒足らずで支払いが完了した

 さらに、支払った「0.01889755ビットコイン」をATMで購入した際のレートで日本円に直してみたら、「1060円」。たった40円だが、常に取引レートは変動しているので、使い時を間違えなければお得な買い物も自由自在。「coinmap」(coinmap.org)というサイトで、ビットコイン支払いが可能なお店は瞬時にチェックできる。  <取材・文・撮影/HBO取材班>
ヤバイお金

ビットコインから始まる真のIT革命

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会