名将、アンチェロッティに学ぶ「静かに、穏やかに人心掌握する」方法

石黒隆之
 時代とともに、人も変わる。毎年新入社員がやってくるたびに、「俺たちのときと何かが違う」と嘆く中間管理職も少なくないはずだ。自分たちの能力を過信しているように見えてどこか捉えどころがない。その上、成果を挙げるべき“人材”としてみなされている自覚ゆえ、上役に対してもフェアに評価し合うドライな関係を望むのだそうだ。
 こうした変化に対してどのような態度で臨めば彼らのモチベーションを高められるだろうか。日々悩みも尽きないのでは?

 そんな状況へのヒントを、現代サッカー随一の名将が与えてくれるとしたら意外に感じるだろうか。『QUIET LEADERSHIP:Winning hearts, minds and matches』の著者、カルロ・アンチェロッティは、ACミラン、レアル・マドリード、チェルシーなどのビッグクラブで数々のトロフィーを獲得。今年からドイツの超名門クラブ、バイエルン・ミュンヘンで指揮を執る人物だ。

 以上の経歴から、頑固で唯我独尊といった強烈なキャラクターを想像するかもしれない。しかし、アンチェロッティのパーソナリティはその対極にある。カネも出すが口うるさいオーナーと、若く自信に満ち溢れた才能豊かな選手たちとの間でバランスを取る姿は中間管理職そのもの。タイトルが示す通り、“静かで、穏やかな”方法によって、人心を掌握していくのだ。

 そのコンセプトは、「怒りや恐怖心によって手なずけるのではなく、互いを尊敬、信頼し合うことで築き上げる暗黙の主従関係」。では、実際にどのような手法で行われているか見ていこう。

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アンチェロッティはチームをひとつの家族と考える

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Quiet Leadership: Winning Hearts, Minds and Matches

名将、アンチェロッティ語る

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