一般に、新興国通貨だと豪ドルやNZドルを好んでトレードする人が多いだろう。だが、川畑氏によると「外為どっとコムでも、顧客のメキシコペソの持ち高はカナダドルより少ないが、スイスフランよりも多い」という。当然、狙いは節目のブレイクとなる。
「米ドル/メキシコペソは2月、6月につけた高値の19.5の間に、17.65の安値をつけています。その値幅の倍返しを考えると、20をブレイクした際には22ペソまで上場することが考えられる。1ドル=100円で計算すると、そのときのペソ/円は4.50。この水準を念頭にペソ売りを仕掛けるのも一つの手です」(川畑氏)
とはいえ、急激なリバウンドも想定されるので、要注意を。
「私は20を上抜いたあとの、戻りを狙っています。というのも、メキシコペソの売りポジションは過去最大規模に膨らんでいて、売られすぎの状態。さらに、米大統領選本選が始まる11月にはメキシコ中銀が利上げに踏み切る可能性が高まっています。9月の利上げを見送れば、11月の利上げが濃厚。そのタイミングで、巻き戻しが起こると考えています」(ドル使い氏)
川畑氏も同じ見方だ。
「メキシコは’09年から’16年まで財政赤字が続いていますが、’17年度は黒字化する予想。原油安が続くなかで、着実に赤字を縮小するなど、実は足元経済は安定しています。加えて、トランプ氏は変説漢。大統領になる可能性が高まったとしても、莫大な建設コストを考慮するとメキシコとの国境に壁を築ける可能性は低い。そうなると、一時的に米ドル/メキシコペソが22まで急騰しても、その直前の安値水準である18あたりまで戻す可能性が高い。より急激な巻き戻しが起こる可能性も高いので、リバウンド狙いが賢い選択でしょう」
となると、米ドル/メキシコペソなら400pips以上の値幅取りも可能! 実際、ドル使い氏はメキシコペソで100~200pipsほどの値幅を狙って、スウィングトレードすることも多いという。日本ではマイナーな通貨だが、最大の旬を迎えているメキシコペソ、ぜひお試しを!
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=112482
川畑氏は11月8日の米大統領本選にかけて米ドル/メキシコペソは節目の20をブレイクすると予想。ただし、投機筋のペソ売りが過去最大にまで膨らんでいるため、その後18ペソまで一気に戻す可能性大
【10月】
9日:第2回米大統領候補討論会@ワシントン大学
19日:第3回米大統領候補討論会@ネバダ大学
【11月】
8日:米大統領本選挙投票日
17日:メキシコ中央銀行金融政策決定会合
23日:メキシコ第3四半期GDP発表
30日:OPEC(石油輸出機構)総会@ウィーン
【ドル使い氏】
http://useusd.com/ 会社員として働きながら、10年以上前からFX、株投資などを開始。現在は株式投資が中心だが、新興国通貨のボラティリティの高さに注目して、メキシコペソを絶えずウォッチ。自身のブログでトレード方法も紹介
【川畑琢也氏】
外為どっとコム総合研究所。複数のFX会社でディーリングを経験した後、外為どっとコムへ。同社のシンクタンクで、テクニカルを中心に為替相場の分析を行っている。ツイッター「@KawabataTakuya_」でもマーケット情報を配信中
取材・文/加藤純平(ミドルマン) 池垣 完(本誌) 図版/ミューズグラフィック