増加する自転車事故。違反には「赤切符」も
2014.07.22
逆走や傘さし運転、歩行者専用ゾーンの走行など、自転車の運転マナーは悪化する一方。自転車が加害者になった場合、高額な賠償を迫られるケースも増加している。
シブがき隊の布川敏和との離婚騒動に揺れる、タレントのつちやかおり。涙まじりで会見した布川に対し、終始余裕しゃくしゃくで不倫相手との恋仲を語っていたのも束の間、5月9日に自転車との接触事故を起こして顔面骨折の重傷を負わせたという。事故後、マスコミ各社に送付したFAXの内容が自己弁護に終始していることなどに批判が集まったものの、よくよく続報を聞けば、つちやのクルマが正しく徐行して交差点に進入したところ、交差する道路の一時停止標識を無視した無鉄砲自転車が、右から突っ込んできた模様だ。
こうしたつちやの事故は他人ごとではない。交通事故に関わる損害賠償事案に詳しい、好川久治弁護士に聞いた。
「警察庁統計によると、平成25年の自転車が関与する交通事故は12万1040件で、全体の約2割を占めています。事故のパターンとしては、出合い頭の衝突が50%以上、次いで右左折時の衝突が合わせて25%程度です」
つちやのケースはまさにこれだが、信号や標識を無視し、急加速に急旋回と、自由自在に走行する自転車に、誰しもヒヤリハットした経験はあるだろう。
そんな世論の危機意識を、警察庁の道路交通行政は敏感に捉えている。昨年12月に道路交通法が改正され、自転車は右側の路側帯を走行できなくなった。そして年度が明けた今年4月、法改正の周知が進んだとして、悪質な違反者の検挙に本腰を入れるという。つまり、自動車ドライバーにおなじみの“切符”が、自転車にも切られる時代がやってきたのである。
しかも、自転車での違反の場合に警察官から渡されるのは、よく慣れ親しんだ“青切符”ではなく“赤切符”だ。違反点数を引かれることはないものの、免停などの処分がくだされることもある。世間から一目置かれる「前科・前歴持ち」の仲間入りである。これだけでも自転車愛好者には戦慄すべき事態だが、好川弁護士はさらに追い打ちをかける。
「そもそも、自転車は道路交通法では車両(軽車両)です。法の改正前の時点で、すでにクルマと同様に、夜間の無灯火運転や信号無視、各種標識違反でも刑事罰が科される可能性はあったんですよ」
そう、これからビシビシと検挙されるのは、改正法で新設された、右側の路側帯通行だけではないのだ。自転車がなにげなく犯しがちな違反事例を後編にまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。こうした違反自転車への取り締まり強化について、警視庁もがぜんヤル気十分のコメントを出しており、要注意である。
「自転車利用者の交通違反に対しては、『自転車指導警告カード』を交付するなど積極的な指導を行うとともに、具体的危険を生じさせたり、警察官の警告に従わなかったりするなど悪質、危険な違反者に対しては、交通切符を適用して厳格に対処しており、今後も指導警告及び取り締まりの強化を継続してまいります」(警視庁広報課)
⇒【後編】『自転車の「ながら運転」、罰金はいくらか?』に続く https://hbol.jp/1093
【赤切符と青切符の違いとは?】
「交通戦争」と呼ばれた’60年代、道路交通法違反の件数が爆発的に増大し、検察も裁判所もパンク状態に陥った。そのため手続きを簡素化しようと導入されたのが、軽微な違反者に対して“青切符”を切る交通反則通告制度だ。この制度は定められた反則金を払えば、道交法違反に伴って本来必要となる刑事手続きを受けなくて済むのである。一方、酒酔い運転や無免許運転、速度超過(一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上)などの重大な違反については、刑事事件の対象として赤切符が交付される。
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