8月31日付の『
Expancion』紙によれば、ドイツ銀行は自行の危機脱出を求めて8月上旬にコメルツ銀行との合併の為の会合ももったという。しかし、コメルツ銀行は内部組織機能を改造中ということで、両行の合併の可能性はないと確かな情報筋が伝えたと報じている。
その前の7月には、スペインの最大銀行サンタンデール銀行がドイツ銀行を買収するのではないかという憶測も生まれた。(参照:『
Urgent24』)
ドイツ銀行の単独での回復は不可能という見方が強まっているのだ。
また、ドイツ銀行は自行の救出に急きょ1500億ドル(16兆5000億円)の資金投入を求めている。(参照:『
RT』)
ドイツ銀行は爆弾を抱えているようなものである。仮にギリシャ財政危機が再燃すれば、債権銀行であるドイツ銀行への不安は一挙に爆発する。現在のギリシャは国有資産を売却して必要資金をつないでいるようなもので、財政危機は近い将来必ず訪れる。同様に。イタリアの金融危機もこれから更に深刻化する。ヨーロッパで一番多額の不良債権を抱えているイタリアの銀行の危機が長引くと、これもドイツ銀行に火種を預けるようなものである。
難民問題で社会不安を招いているドイツであるが、ドイツ銀行の問題はそれ以上の危険度を孕んでいる。同行が破綻すれば、世界恐慌は必至である。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。