「窓」の違いが死を招く!? 家と健康の深いつながり

国際レベルで見ると、日本の断熱基準はまだまだ低い

樹脂サッシの、Dの部屋にはほとんど結露がない

 驚いたのは、欧州レベルの断熱仕様がほどこされたEの部屋(パッシブハウス)だ。こちらの窓ももちろん樹脂で、ガラスはトリプル(3枚)仕様になっている。壁の断熱材も分厚くまったく寒さはない。そしてエアコンのない部屋に入っても、十分過ごせるだけの暖かさ(20℃)が保たれていた。足元も寒くないし、窓の結露はまったくない。  DやEの部屋で暮らすのと、最初に入ったBの部屋で暮らすのとでは、健康状態に大きな差が出てくるはずだ。2020年には、日本でもようやく新築住宅を建設される際に断熱基準が義務化されることになっている。  しかし適用される国の基準は、記者が最初に入ったBの部屋のレベルだ。国際的なレベルで考えると、日本の現状はまだまだ低いと言わざるをえない。国の基準を待たずに、一般の消費者が率先して高断熱の窓や家を選ぶようにした方が、省エネはもちろん、健康で快適な生活が送れるだろう。  この品川の「体感ショールーム」は、工務店など建築のプロを対象とした施設で、一般公開されているわけではない。しかし、一般の人でもこれに近い体感ができる体感機は、同社の新宿、名古屋など全国10か所のショールームにあるので、訪れることをお薦めしたい。 取材・文・撮影/高橋真樹(ノンフィクションライター。『ノンフィクションライター高橋真樹の全国ご当地エネルギーリポート』をWeb連載中。著書に『そこが知りたい電力自由化—自然エネルギーを選べるの?』<大月書店>など)
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)。昨年末にはハーバービジネスオンラインeブック選書第1弾として『「寒い住まい」が命を奪う~ヒートショック、高血圧を防ぐには~』を上梓
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