観光事業に注力する北朝鮮の戦略 日本人向けに行ける場所も増加

国際列車

午前10時過ぎにゆっくりと北朝鮮へ向け越境する国際列車

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)は国際的に孤立していると思っている人は少ないと思う。しかし、現実的には162か国と国交を持っており、先進国で国交がないのは、日本やフランス、アメリカくらいで、朝鮮戦争で連合国だったイギリスは2000年に国交を樹立し、相互に大使館がある。  そんな北朝鮮、観光事業に力を入れ始めている。 ⇒【前編】「PCやタブレットの持ち込み規制も廃止。北朝鮮が観光客受け入れに注力」( http://hbol.jp/10612

新たに日本人観光客に開放される場所も

 新たに日本人観光客へ開放された場所も少なくない。  最近開放された場所としては、 ・大型サウナ・プール施設(10ユーロ) ・国際射撃場(追加料金あり) ・光興百貨店 ・大学訪問・交流 ・平壌の家庭訪問  などが挙げられる。  どれも、この数年で建設されたものか、以前からあったが特例を除き日本人には認められなかった訪問地である。
平壌

2011年には珍しかったクシーが今では平壌中を走っている(写真は2011年8月のもの)

 移動もしやすくなった。なにしろ今の平壌では、数年前まで探すのが難しかった中国BYD社製のタクシーが走り回り、ガイド付きとなるが外国人も利用できるのだ(中国元払い)。タクシー料金は、2km約3.5元(約60円)ほど。ちなみに、ガソリンは1リットル約6.5元(約114円)。レストラン等に表示された北朝鮮ウォンと米ドルの交換レートは、1万ウォン=100ドル。この表示は今年から始まったもの(外国人は朝鮮ウォンを利用できないのであくまで参考情報)。  日本人向けの北朝鮮ツアーは1人から参加でき、 ・最短3泊4日 往復鉄道(丹東) 14万6000円 ・最長4泊5日 往復飛行機(瀋陽) 21万6000円  くらいが相場なようだ。  希望すれば、7泊8日などもアレンジできる。3年前14泊15日を希望した日本人がいたが、観光する場所がないと北朝鮮側に断られているので、最長でも1週間程度までが許可され易い滞在日数であろう。  ツアーと称しているだけあり、人数が増えると価格が下がっていく。最短コースで見ると、2人から5人だと1人12万2000円。6人から9人だと11万円。10人以上だと9万1000円となる(価格には、税金、ビザ代、ホテル代、3食、中国からの交通費や現地移動費、日本語ガイド代含む)。
鉄橋

日本統治時代の1943年完成の鉄橋を鉄道と車、人がスクランブルする珍しい光景

 鉄道は安く北朝鮮の地方風景などが楽しめるが、約200kmを10時間近くかけて乗らざるを得ず、結構疲れる。また、時間が長くなる分、荷物検査が空路と比べ厳しくなる。そのため、人気コースは、行き列車、帰り飛行機という組み合わせだという。  余談だが、現時点でも現地での厳禁行為は、金日成主席、金正日総書記と同じポーズで写真を撮ることとなる。
ツポレフ・Tu-204

平壌順安空港で離陸を待つ高麗航空(機体はツポレフ・Tu-204)

 季節問わず安定的に外貨を稼ぐためには、観光客よりもビジネス客を増やすほうがいい。しかし、現状の北朝鮮では、ビジネス客はまださほど多くはないので、まず観光客を増やし、リゾート開発するための投資を募り、建設、それにより、さらに観光客を増やすような戦略を進めている。  特に、対日本では、将来の円借款での経済支援を見込んでおり、仮に実施されれば、日本円を使うため日系企業へ開発等を依頼することになり、その結果、関係者の駐在や往来が発生する。そのためにも、日本人向けに積極的に観光ツアーをアピールしているのかもしれない。ここまで考えているかは定かではないが、この戦略は同国にとって外貨をより安定して獲得するためのしたたかな手段なのかもしれない。<取材・文・撮影/我妻伊都>
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