マンガの主戦場は紙からアプリへ。作品性だけが求められる時代は終わった?

Webマンガサイト「comico」トップページより

マンガアプリのシェアは四つ巴の様相

 無料でマンガを読めるスマホアプリが“戦国時代”の様相を呈している。「comico」(NHN comico)は16年6月に1300万ダウンロード、「マンガボックス」(DeNA)は同年4月に1000万ダウンロードを突破。こうしたIT系企業にやや出遅れてサービスを開始した大手出版社系アプリ・少年ジャンプ+(集英社)、マンガワン(小学館)も、ともに550万以上のダウンロードを達成するなど、これまで紙媒体が主だったマンガの戦場はアプリへと移行しつつある。  マンガ産業の最前線では何が起きているのか、マンガ関連のコンテンツプロデュースやキュレーションなどを手掛けるレインボーバード合同会社代表・山内康裕氏に話を聞いた。 「現在のマンガアプリのシェア競争は書店系、広告系、IT系、出版社系の四つ巴になっていますが、サービス開始時のそれぞれの思惑はまったく異なります。書店系は電子書籍の購入アプリとしてスタートしており、消費者の囲い込みが目的。広告系は過去のマンガを無料公開し、広告収入を得るモデルだった。IT系の目的は二次利用を念頭に置いたコンテンツを育てること。既存のキャラやコンテンツを利用すると多額のロイヤリティが発生するため、自前のマンガアプリ上でヒット作をつくり、ゲームや映画などに発展させようという計画だったのです」
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やはりノウハウの蓄積がある大手に分があるか
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