冬以降の日本株は取り逃したくない相場になる!?
2014.08.05
今年も後半に突入! 多くのアナリストがすでに今年に対し弱気のなか、SMBC日興証券のチーフテクニカルアナリストの吉野豊氏は今夏を逃してはいけない、と語る。そのワケとは? 本特集を読んだら、すぐに動き出すべし!
円安に浮かれていると猛烈な下げで、それまでの利益をすべて持っていかれるのでご注意あれ。いずれにせよ為替の動きからも夏場から10月にかけての日経平均の上昇が示唆された。
「メインシナリオとしては7月から10月に向けて1万8809円への上昇です。ただ、先ほど説明したように3年連続して2ケタの上昇率というのは考えにくいですし、午年のアノマリーとして『午尻下がり』という言葉があります。午年の相場は年末に向けて下がりやすい傾向があるのです。ですから、高値をつけた後は年末に向けて調整入りが濃厚。それも少なくとも3200円、通常ならば4000~4300円幅の大きめな調整になるでしょう」(SMBC日興証券のチーフテクニカルアナリスト吉野豊氏)
これが高値更新シナリオだが、相場に100%はない。吉野氏にもリスクシナリオがある。
「4月安値の1万3910円を割ってしまった場合は要注意です。さらに下げたとしても1万3109円程度で止まるだろうと思いますが、そのときは昨年高値の1万6291円を更新できず、年末から来年に向けての調整が始まってしまうのでしょう。ただ、足もとの動きから見て、リスクシナリオ実現の可能性はだいぶ薄れています」
基本的にはあと数か月、強気でいてよさそう。じゃあ、個別株についてはどうすべきか。吉野氏は旬の注目セクターも教えてくれた。
「電機株です。東証電気機器株価指数には15年周期で天井をつけるサイクルがあります。このサイクル通りなら次の天井は’15年。過去の例ではTOPIXの2倍程度のパフォーマンスをつける傾向もあり、上昇余地は大きいと思います」
電機セクターは来年のピークに向けて、夏場に一層の上昇が見込めそうだ。東証電気機器株価指数の構成銘柄はキヤノンやファナック、日立、パナソニック、ソニー、三菱電機などなど。こうした銘柄から有望なものを物色するのもよさそうだ。
さて、吉野氏のシナリオ通りならば、年末から来年に向けては大きな調整期間。そうだとすれば、冬以降の日本株は手出ししないのが無難な策か。
「現在の株高は2020年3万円へ向けた非常に長期的な株高だと見ています。ですから、次の調整局面は最後の買い場となります。『預金をすべて取り崩してでも買え』とは言いすぎでしょうが、取り逃したくない相場であることは間違いありません」
職業柄、株の売買が厳しく制限されている吉野氏だが、それでも会社の持株会を通じて2020年に向けた上昇を取りに行くそう。口さがない人は「アナリストは口だけだから」なんて言うが、吉野氏は行動に移している。そんな吉野氏の自信の予測だけに確度はかなり高そう!
【吉野 豊氏】
SMBC日興証券チーフテクニカルアナリスト。アナリストランキングではトップ3常連とプロからの評価は高い。共著に『FXドリームチームが教える為替の鉄則』
取材・文/高城 泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック イラスト/マッタリたけし
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