マンション投資[騙しの手口]の意外な盲点
2016.08.17
どう考えてもあやしい投資話に乗っかる人は少なくない。しかも、それなりに知識や経験のある人が被害に遭っていたりする。その“騙しの手口”とは……? 自らも投資マニアであり、数々のあやしい商品に手を出してきたと語るFP・藤原久敏氏のツッコミを交えて検証する
毎月安定した収入が手に入る……という売り文句で、盛んな営業活動が行われている不動産投資。保坂さんは不動産投資歴10年のベテランだが、思わぬ形で詐欺被害に遭った。
「その物件は、名の通った不動産投資会社Aの営業マンから購入を持ちかけられたものでした。価格は3000万円程度。利回りなどの条件を一通り見ても良い印象の物件でした」
その営業マンには、特段あやしい印象は持たなかったという。
「提示された資料はしっかりしたものでしたし、購入後の修繕費などもきちんと説明してくれました。やたらと購入の即決を迫ってきたのは気がかりでしたが、それはマンション投資の営業ではごく普通にあることですし……」
資料を持ち帰り検討した後、保坂さんは購入を決意。手付金の300万円を振り込んだ。しかし、突如として営業マンと連絡が取れなくなってしまう。
「もしかしてと思い、A社の電話番号に連絡をしてみたら、『そのような社員は在籍していない』とのことでした。その後のA社の調査でわかったことでしたが、彼は過去にA社に在籍していた元社員で、A社の名を騙って詐欺を働いていたんです」
不動産投資の世界では、この手の詐欺はたまにあるそうだが、保坂さんも「まさか自分が被害者になるとは思っていなかった」とのことだ。
「資料や営業トークに不自然な部分がなかったのも、元社員だから当然ですよね。また、不動産投資の営業マンと会う場所は自宅か外が普通。携帯で連絡を取り合うのも自然なことだったので、A社に電話することはありませんでした。一度でも会社に電話していれば早く気づけたんですが……」
大手の不動産投資会社では、営業部門を別会社に委託するケースも実際にあるそう。「営業はウチの会社で受け持っているんですよ」とでも説明されたら、不動産投資のシロウトは簡単に騙されてしまいそうだ……。
マンション投資に限らず「その場で即決を迫ってくる」営業マンは疑ってかかったほうがいいですね。購入額全額を支払わせるのではなく、手付金が支払われた段階で雲隠れするというスピーディなやり口なので、うっかり最初にノッてしまったらアウトです。ただでさえ不動産売買のような相対取引は“目利き”でないとハズレを摑まされやすい。営業トークにノセられやすい人は、REITを買う程度に留めておきましょう。
【藤原久敏氏】
‘77年生まれ。’01年、当時としては全国最年少での独立系ファイナンシャルプランナーとなる。投資マニアでもあり、著書『あやしい投資話に乗ってみた』(彩図社)では、自身のカラダを張った投資体験を披露している
― あやしい投資話[騙しの手口]リポート ―
【投資マンション/損失:300万円】
保坂祐樹さん(仮名・51歳)
「資料も説明もしっかりしていた」というだけで信用するのはNG!
プロのツッコミ
『あやしい投資話に乗ってみた』 なんとなく、あやしい…そんな投資法に実際に首を突っ込んでみた著者の、渾身の実録レポート! |
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