未公開株詐欺で損失500万円――騙される個人投資家の共通点

どう考えてもあやしい投資話に乗っかる人は少なくない。しかも、それなりに知識や経験のある人が被害に遭っていたりする。その“騙しの手口”とは……? 自らも投資マニアであり、数々のあやしい商品に手を出してきたと語るFP・藤原久敏氏のツッコミを交えて検証する 被害者

ネットで知り合った赤の他人を“友達”と信用したのが運のツキ

【未公開株/損失:500万円】 小松裕明さん(仮名・48歳) 「まさか、“友達”に500万円騙し取られるとは……」と小松さんは2年前の出来事を振り返る。新興市場銘柄を中心に運用していた小松さんはSNS上の株コミュニティを情報源にしていたという。 「そんなとき、コミュニティの人から友達申請が来たんです。猿マネで簡単に儲かっていたし、情報交換できると思って快諾したらすぐ連絡があり、いい未公開株があると言われたんです」  誰がどう見てもあやしいこの話。ところが、小松さんは違った。 「気分は有頂天ですよ! 政治家が大儲けした話はよく聞いていたし、自分に一生関係ないと思っていた裏世界を知れた優越感もあった。当時、有望視されていたバイオ銘柄だったので、大きく化けるぞと。リターンを妄想したら財布の紐も自然に緩みました」  紹介されたのは「『アンジェスバイオテクノロジー』なる銘柄。が、調べても詳しい情報がなかったという。 「それでも当時は『未公開だから』と納得していた。しかも相手が『人より早く情報を手にした者が勝つ』とか『リスクを取らないとハイリターンはない』なんてフレーズを畳みかけるので、すっかりその気になっちゃって」  言われるがままに500万円を振り込んだというから豪気な話だが、わずか約2週間後、異変に気づく。 「届いた証書がとにかくチープで。家庭用プリンターで手作りしたようなクオリティですよ。すぐに連絡したものの、ごまかされ続け、しまいには連絡がつかなくなった。上場どころか、会社の実体すらなかったんです……」  すがる思いで消費者センターに駆け込むも、相手の身元がわからなければ為す術はない。 「今にして思えば、未公開株を持っているのなんて関係者くらいしかいないはずなのに、なぜ信じてしまったのか……。SNS上の薄い関係にもかかわらず、本当の友達と錯覚してしまった自分の甘さが悔やまれます」

プロのツッコミ

「未公開株を持っているのは関係者」というのは本当にその通り。関係なさそうな相手からの売り込みは相手にしてはいけません。「夢のある言葉に納得させられてしまった」というのもありがちな話です。投資家向けセミナーなどでも、上級者向けほど“投資哲学”めいた内容が多いんですよ。なまじ投資をかじったことのある人は、具体的な話には警戒心を抱くのに、抽象的な盛り上げには乗っかりやすいので要注意です。 【藤原久敏氏】 ‘77年生まれ。’01年、当時としては全国最年少での独立系ファイナンシャルプランナーとなる。投資マニアでもあり、著書『あやしい投資話に乗ってみた』(彩図社)では、自身のカラダを張った投資体験を披露している ― あやしい投資話[騙しの手口]リポート ―
あやしい投資話に乗ってみた

なんとなく、あやしい…そんな投資法に実際に首を突っ込んでみた著者の、渾身の実録レポート!

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