話をシャープのPLに戻そう。仮に人件費や広告宣伝費を一切なくして、販管費を0円にしても、たった0.4%の営業利益率にしかならない。
全上場企業における営業利益率の平均は4%から5%とされているため、シャープはそもそも現在のビジネスモデルが崩壊していると言える。作っているモノと作るのにかけるコスト、その仕組みそのものが悪いのだ。
ここからわかるのは、社員の16%程度をカットしたところで、業績に直結する影響はほぼないという事実だ。
ちなみに、人件費は社員数×1人あたりの平均給与で決まるが、シャープは他社と比べて給与も明らかに低い。
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国内大手電機メーカー5社の平均年収(※「有価証券報告書」より)
従業員の平均給与は634万円であり、役員報酬の平均も1600万円しかない。これは、総合商社やキー局など、「従業員」への給与水準がトップクラスの会社の平均年収と大差ない水準である。
なお、ソニー、日立、パナソニックといった他の大手電機メーカー3社の役員が得ている報酬の平均額は、それぞれ全上場企業中のトップ200にランクインしている。
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国内大手電機メーカー5社の平均役員報酬(※「有価証券報告書」より)
以上、具体的な数字から明かしてきたように、シャープはすでに人件費を極限まで切り詰めている。さらなる人員削減を進めても大して業績改善に寄与しない。
充分なメリットがないにも関わらず、7000人の人員削減について、経営陣が言及し、メディアを騒がせ、「やはり鴻海は買収した日本企業の社員の雇用を守らないのか」というマイナスな印象を与えたのは、鴻海のPR上の失敗といえるのではないだろうか。