また、英国の格安航空会社はポンドの値下げにも懸念を表明している。なにしろ、1985年のレベル以来の最高の値下げとなったのだ。対ドルにつきポンドは12%の切下げとなり、燃料のコストアップに繋がっている。その結果、イージージェットの〈今年7月から9月の売上は昨年比で8.6%の減少を予測している〉という。また金融サービスを提供するカンター•フィッツジェラルド社のロビン•バイド氏はイージージェットの今年の粗利は〈当初予測の7億3000万ユーロ(876億円)から14%落ち込んで6億3300万ユーロ(760億円)になる〉と予測している。(参照「
El Mundo」)
この様な状況を前に、アイルランドのダブリンに本社を構える格安航空No.1のライアン航空は〈この先12から18か月の間、英国と他のEU加盟国との新しい航路の開発を中断する〉ことを決めた。ライアン航空の〈売上の25%は英国の空港を利用〉して達成したものであるという。(参照「
El Mundo」)。
2015年度の世界の格安航空会社ランキングでイージージェットは4位にランキングされている。破格の価格を全面に強調するライアン航空の陰に隠れて目立たない存在であるが、イージージェットはスペインでも評判は良い。果たしてLCCを直撃したBrexit、この先どのような影響を及ぼしてくるのだろうか?
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。