不支持率が40%に。国内でもEU内でも立場が揺らいできたメルケル政権

photo by EPP(CC BY 2.0)

不支持の声が広まりつつあるメルケル政権


 難民問題によって、メルケル首相の立場が徐々に悪くなっている。特に2015年から2016年への年越しにケルンで起きた女性への集団強姦そして盗難事件は、それが難民による犯罪であると結論づけられて今も止むことなく難民を受け入れようとするメルケル首相の姿勢に国民は批判をますます強めているのだ。

 ドイツの世論調査会社INSAが雑誌フォーカスの為に実施した調査によると〈40%の国民がメルケル首相の辞任を求めている〉という。皮肉にも2014年12月のキリスト教民主同盟(CDU)の党大会で97%の支持を集めて党首として再選された彼女であった。が、僅か13か月経過した今の彼女の凋落ぶりは目立つ。ただ、同調査で〈45%の国民は彼女の首相辞任の必要性はない〉としていることも忘れてはいけない。(参照:「El Pais」)。

 しかし、EU内における彼女のリーダーとしての権威も下降しているのも確かである。それを突くように批判を加えているのがイタリアのレンツィ首相である。レンツィ首相曰く、メルケル首相はこれまでもEU加盟国に緊縮策で犠牲を強いておきながら、その一方でドイツは自国の為にロシアとドイツを結ぶ第2の天然ガスパイプランを建設しようとしているとして、彼はその建設に反対している。そして、彼はそれはEU議会でまず審議されるべきだと主張し、彼女と昨年最後のEU首脳会議の席で激論を交した経緯がある。そして先月30日のレンツィ首相のドイツ訪問では、メルケル首相との会談のあとのフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙との会見で次のような発言をした。

〈「EUで難民問題を解決したいのであればアンゲラはオランデ(仏大統領)そしてその後にユンケル(EU委員長)を呼ぶだけでは充分でないと思う。私はそれを紙面で知った。アンゲラとフランソワが二人で全ての難民問題を解決してくれるのであればありがたいことだ。しかし、多くの場合はそうではない」〉と彼は皮肉を込めて答えたという。(参照「El Pais」)。

 レンツィ首相のドイツ訪問の丁度1週間前にトルコのダウトール首相がメルケル首相を訪問している。両者の会談の中でダウトール首相はメルケル首相がトルコを訪問した際にトルコが難民のヨーロッパへの流入を防ぐ為の支援金として約束した〈30億ユーロ(3900億円)の提供を再度要請した〉という。

 何故なら、この支援金がトルコに中々届かないからだ。実は、この提供を滞らせているのが正にレンツィ首相のイタリア政府なのである。彼はトルコへの支援金の提供には賛成しているが、その資金はEUが備蓄している資金から提供されるべきで、新たに各国がその為の資金を拠出することには反対しているのだ。

 難民問題が発生する前まではサッチャー元首相と同様にメルケル首相は鉄の女と評価されるほどで、EU加盟国を全て右にならえ式に彼女の考えに従わせたが、難民問題に関しては加盟国は彼女の方針に素直に追随しなくなっているという。

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