10万円する「大人用ランドセル」。日本でなぜ売れる?
2016.01.30
昨年、ハリウッド女優ズーイー・デシャネルが愛用していることが話題になると、一躍、世界のファッショニスタの間で注目を集めるようになったランドセル。このブームは日本でも起こりつつあり、ランドセルの老舗メーカー・土屋鞄(かばん)製造所が作った大人用ランドセルは、10万円という高価な価格設定にもかかわらず、注文が殺到。受付開始即完売と異例の人気となっている。
とはいえ、日本では“小学生が持つカバン”というイメージが強いランドセル。“大人のカバン”として受け入れられたのは、世界的なブームに後押しされたものではないはず。大人用ランドセルが、日本で売れているのはなぜなのか?その理由を土屋鞄製造所に取材し、探ってみた。
江戸時代末期、洋式軍隊制度を導入した際に採用されたオランダのバックパック「ransel」(ランセル)がなまって「ランドセル」になったといわれるランドセル。明治18年に学習院初等科で初めて採用されると、通学カバンとして徐々に普及。昭和40年以降からは、全国の小学校でも当たり前のように背負われるようになった。
大人用ランドセルを作った土屋鞄製造所が創業したのも、まさにその頃。「創業50年を迎えるにあたり、新しい挑戦として開発したのが、今回の大人向けのランドセルです」と、土屋鞄製造所広報・清野智子さんは語る。
「ランドセルは、日本の職人の手により進化してきた、機能性に優れたカバンです。その機能性を活かしながら、「大人の仕事カバン」として進化させたものがOTONA RANDSELです」
大人用のカバンとして進化したとはいえ、やはりランドセルは子ども用のカバンという印象が強い。具体的には、どういった点が進化しているのだろうか。
「たしかに、ランドセルはそもそも、子どものもの。大人が背負うと、見た目やサイズ、使い勝手に違和感が出てしまいます。そこで、見た目、素材、機能の3つの点において、改良を施しました」
具体的には、下記の点に違いがあるという。
<見た目>
1:大きさ 大人の背中に合うように、少し大きく、縦長に。
2:マチ幅 通勤なども考慮して、子ども用と比べて薄めにすっきりと。
3:形 子ども用は丸みがあるが、大人用は、直線的でシャープに。
<素材>
子ども用は防水加工などが施されている革を使うものが多いが、大人用はナチュラルで、使っていくうちに色艶(味わい)が増していく革を使っている。丈夫さに加えて、美しく見せるという点にもこだわっている。
<機能>
1:ポケット 移動中にカードケースなどを出し入れすることを想定し、ランドセルを背負ったままでも、物の出し入れができるサイドポケットをたくさん付けている。
2:背中のクッション 背中に当たるクッションの高さを3段階に設定。クッションの高さが一番高い、腰の位置で荷物を支えることで、よりフィットした背負い心地を体感できるようになっている。また、U字の内側部分は一段低く設計してあるため、通気性が良く、背中に熱がこもりにくくなっている。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=80603
ランドセルは日本の職人の手により常に進化している
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