元右派学生活動家が見た日本会議/日本青年協議会――シリーズ【草の根保守の蠢動 第26回】

 前回に引き続きとある学生が純粋な愛国心から知らず知らずのうちに、日本会議/日本青年協議会に近づいてしまい、彼らの学生団体である「全日本学生文化会議」に吸い込まれていく過程を紹介している。前々項前項に引き続き、本稿では、現在も右派であり保守でありながら、なぜ早瀬氏は日本会議/日本青年協議会を批判するのか、彼が当時見て、感じたことを振り返って貰おう。

常に天皇陛下のことを考えろ!!


 あまりにも宗教じみた彼らの活動や非論理的な言説に嫌気がさしきっていた早瀬氏だが、最後の最後に京都で開催された合宿に参加した。

「この合宿では『常に天皇陛下がどう考えておられるか考えながら生活しろ』『大御心がどのようなものか想いながら生きろ』という話ばかりで、辟易しました」

 早瀬氏が見た彼らの内部文章には

「1年目には四先生の教えを徹底させる。2年目には天皇信仰を徹底させる。そして3年目には総仕上げとして谷口雅春の教えを最後に植え付ける」という裏カリキュラムが記載されていたという。 そのカリキュラム通り、彼らは、2年生になろうとする早瀬氏に対し「天皇信仰の徹底」をやり始めたのだろう。

 しかしそろそろ我慢の限界だ。早瀬氏は造反を決意する。

「京大農学部出て、日本青年協議会に入った人がいたんですよ。で、その人が、天皇天皇とあんまりうるさいから、『天皇陛下がサリン撒けっていうたら、皆さんはサリン撒くんですか?』と聞いたんです。」

 天皇陛下の考えだけを忖度しろと述べる先輩にはこの質問は爆弾だったらしい。

「そしたらですね、もうホンマに、文字通り頭抱えて悩みだしたんですよ。『うー』とか唸って。二時間ぐらいずーっと唸りながら考えてるんです。僕ですか?僕はそれを笑いながら見てました。アホだなぁと」

 この爆弾質問は組織の中で問題にもなり、また、先の早稲田でのクーデターへの関与も問題となり、早瀬氏はめでたく、全日本学生文化会議から追放された。

やはりカルトと言わざるをえないのか。


 当時のことを振り返り、早瀬氏はこう述懐する。

「本当に、カルトなんですよ連中は。谷口雅春の名前はことあるごとに出てくる。しかし『内緒だよ』とか『他の人に言ってはいけないよ』とか口止めするんです。つまり隠してるんですよね。隠さなければいいと思うんですよ。信教の自由ですよ。憲法9条を改正していこうという時にそれがどこの宗教だって構わないし、統一教会と組むのも構わない。政治運動は合従なんでね。幸福の科学と一緒にやってもいいじゃないですか。正体を明かしている限りは。しかし連中は隠す。それに連中の場合は、生長の家批判しようにも、今は、本体の『生長の家』と違う。だからなおさら正体がつかめない」

 早瀬氏のように、違和感を抱き、その違和感から問題意識を持ち、彼らの輪から抜けられた事例は他にもあるのかもしれない。しかし圧倒的大多数は、そのままずるずると日本会議/日本青年協議会の進める「国民運動」のスタッフとして、活動していくのだろう。そして、先日の「改憲一万人集会」のようなイベントを盛り立て、その結果が新聞報道に載り、政治家の目には「世論」として映るようになる。

 来夏の参院選に向け、日本会議/日本青年協議会の国民運動は苛烈を増してくるであろう。しかしもはや、彼らがどのような活動を裏で行い、何を目的としているかはこの証言で明らかになった。この証言を信ずるならば、彼らを「極めてファナテイックな人々」、「特殊すぎる思想で政治運動を行う人々」と規定せざるをえない。

 どのような人々が日本会議を通じ安倍政権を支え、改憲路線を突き進んでいるのか、これで明らかになった。この流れにどう対峙するのか、一般市民の良識が今後ますます問われるだろう。

<取材・文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>


日本会議の研究

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