眠眠打破公式HPより
常盤薬品工業は1949年に大阪で中井一男氏が置き薬販売で創業、その後は事業を拡大し「南天のど飴」「ビタシー」「眠眠打破」などの人気商品を販売していましたが、2002年に訪問販売用化粧品の最大手である
ノエビアに買収され傘下企業となっています。ノエビアが化粧品の訪問販売中心であるのに対して、常盤薬品工業は上記の一般向け商品を中心に扱っており、最近ですとノエビアの
グループ売上493億円、経常利益81億円に対して、売上の1/2、利益の1/3程度のシェアで、今回の決算では純利益が前年に比べて、73%増加しており好調そうですね。
なお、ノエビアに関しては訪問販売中心なので「名前は確かに聞き覚えがあるけど何だっけ?」という方も多いと思いますが、90年代によく流れていた「コスメティック・ルネッサンス」というコピーの鶴田一郎氏の美人画を使ったCMには見覚えがある方も多いのではないでしょうか。ちなみに当時は買収前の常盤薬品工業も同じような枠でこれまた勢いのある
「ビタシーゴールド」のCMをよく流していましたね。
第62期決算公告 11月26日官報47頁より
【売上高】240億3500万円
【経常利益】24億500万円
【当期純利益】15億3300万円(前年比+73%)
【利益剰余金】38億1100万円
過去の決算情報など、その他企業情報まとめ
ロングセラー商品を多数持ち、最近は「なめらか本舗」等で女性向けのトイレタリー分野にも力を入れている常盤薬品工業ですが、ビジネスマンとして同社の商品で一番身近なのはやはり「眠眠打破」シリーズではないでしょうか。私も社会人になりたての頃はよく大事な提案前日に先輩に頼まれた資料を明け方まで作って翌日の提案前に飲んでました。。この手のドリンクは効き目が個人によって違うとは思うのですが、私の場合はそこから4時間はバッチリ目が覚めて、その後は4時間強烈な睡魔で会社のソファーで沈没して使い物にならないという、まさに諸刃の刃的な存在でした。
そして、今回改めて確認すると「ここぞの瞬間をサポートする」がコンセプトなので、使い方としては適切だったらしいと知った「眠眠打破」ですが、発売開始は思っていたよりは最近で1997年です。横書きカタカナが多かったドリンクコーナーでインパクトを出すために漢字4文字のネーミングで売り出された「眠眠打破」でしたが、当初ドライバー向けにサービスエリアを中心に置いたものの、単なる従来より割高な清涼飲料水といった扱いで苦戦したようです。
しかし、そうした販売状況を2つのきっかけが打ち破ります。1つ目は
1999年の規制緩和でコンビニが医薬部外品を扱えるようになり、現在ではおなじみの栄養ドリンクコーナーができたこと、2つ目は2003年に始めたタクシーのリアウインドウ広告がヒットし、更に認知度を引き上げることに成功します。ここら辺はまさに「
4P戦略」における「Place」と「Promotion」の典型的成功という感じですね。現在では60億円あるという
「覚醒系ドリンク」市場で60%ものシェアを獲得しているとのこと。
そんな今や定番の「眠眠打破」ですが、実は今年結構話題になっていたのはご存知でしょうか。「眠眠打破」には元々、覚醒成分の「カフェイン」がレギュラーコーヒー2杯分入っているのに加えて、その効果を強化する「アルギニン」や体の巡りを整える「東洋ハーブ」等が入っているのですが、「体も元気にしたい」という声に応えて2006年に「高麗人参」や「ガラナ」のエキスを加えたその名も「強強打破」が発売されました。元々「眠眠打破」の時点で十分インパクトがあったかと思うのですが、もう商品名から「眠」すら取っちゃった「強強打破」は凄いインパクトですよね。しかし、そんな「強強打破」すら上回る商品、それが今年発売開始の「激強打破」です。
ネーミング自体は更に強力になっているものの、正直これまでに比べればややマンネリ感があるかなという感じですよね?しかし、話題になったのはその追加成分の材料で、なんと「サソリ(治癒力+性欲増進)」「蟻(免疫力+性欲増進)」「ウミヘビ(血行改善+性欲増進)」「馬の心臓(滋養強壮+性欲増進)」です。いやもう、ひたすらに凄いですね、ネット上でも「黒魔術か」「胃の中に何か召喚されそう」等々、
凄い評判です。
以上、我々を強力に、時には意外な手法でバックアップし続けてくれる「眠眠打破」シリーズですが、ソチ冬季五輪の際には「朝まで見ていて眠い」という人々に
いつもより多く売れたそうなので、今年はリオ五輪もありますし、その時「眠眠打破」では駄目そうなら、是非「激強打破」にチャレンジされてみてはいかがでしょうか?
※決算数字の留意事項
基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご活用下さい。
【平野健児(ひらのけんじ)】
1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『
SiteStock』や無料家計簿アプリ『
ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『
NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。