中朝関係改善の兆し? 中朝博覧会に見る中国の北朝鮮貿易への期待度

中朝博覧会の看板

 10月10日の「朝鮮労働党創設70周年」イベントで中朝関係好転の兆しを見せ始めている中、10月15日から18日まで、中国丹東で「第四回中朝博覧会」が開催された。さっそく筆者はその博覧会に行ってきた。ちなみに、筆者は昨年もこの博覧会を訪れており、その違いをご覧いただければより面白いリポートになるので併せてお読みいただきたい。(参照:【中国最大の北朝鮮博覧会】中朝関係悪化で出展企業が100社から66社へ規模縮小

 今年の正式名称は、中朝商品展覧交易会で、昨年は、中朝経貿文化旅遊博覧会だったので、名称自体が変更されているが、基本的には同じ博覧会で、北朝鮮の博覧会としては中国最大規模を誇り、中朝貿易の中心である丹東で2012年から開催されている。

 昨年は、メイン会場とサブ会場と2か所に分かれていたが、今年はメイン会場の1か所と規模自体が縮小したかに思われるが、中国メディアは、参加北朝鮮企業は約100社と昨年の66社から大幅に増え、期間中に北朝鮮関係者400人参加と伝える。報道通りであれば、参加北朝鮮企業数は、一昨年の参加企業数まで回復している。

 博覧会には、北朝鮮と中国以外では、台湾、タイ、モンゴル、ロシアなどが参加しており、9月の長春の博覧会で参加していた日本や韓国は参加していない。

⇒【写真】はコチラ http://hbol.jp/65817/02-78

鉱物ブースが増えたが、放射性物質発覚で一部閉鎖も


今年からは言い値は廃止。値札がついた

 北朝鮮ブースを覗くと展示、販売されている商品は、高麗人蔘、乾燥キノコ、健康食品、化粧品、薬、自然食材、生薬、ハチミツ、酒、衣服、靴、切手、メダルなど昨年と代わり映えしない商品が並ぶ。

 雰囲気は、昨年と似ているが違いを探すと、まず、鉱物ブースが増えたこと。中国で北朝鮮の鉱物への関心が高まっているのだろうか? しかし、ブースを増やしたものの、日本でも報じられたように博覧会初日に展示されていた鉱物から放射性物質が発見されて立入禁止になるなどの騒動があった。ちなみに、そのブースがあったと思われる場所を17日に訪れるとすでにもぬけの殻だった。

 次に多くの商品に値札がつけられたこと。この点を会場関係者へ聞くと、「昨年まで価格表示されていないことが多く、口頭でのやり取りとりとなり、トラブル発生要因となっていため、今年は価格を表示するようと指示があった」そうだ。

 この博覧会でブースに立つ北朝鮮人は、簡単な中国語もできない人が多い。長春の博覧会のように学生ボランティアがいるわけではないので、お客とのやり取りも彼ら自身が行う必要があるため昨年は、電卓片手に価格を伝える姿を見るなどミスコミュニケーションが容易に想像できた。

美女応援団のスタイルの女性スタッフ

 全体的には今年も軽工業品が中心で、機械類は数えるほどしかなかった。

 また、会場の外では屋台村が来場客をひきつけており、昨年は、サブ会場に1、2店だった北朝鮮料理店が5店ほどに増え、丹東の北朝鮮レストランも屋台を出し、店舗スタッフが「美女応援団」をほうふつとさせるスタイルで応援に駆りだされていた。

中国人に値切られ涙目の北朝鮮人。引き払われた後のブースで商売する台湾人


 さらに、博覧会最終日に訪れると昨年とは違った光景を見ることができた。多くの商品が大幅値下げされていたのだ。値札を出したことが仇となったのか、価格交渉慣れする中国人にガンガン押されている姿が見られ、前日100元(約1900円)だった焼酎が中国人女性に10元(190円)に下げられて売っていたので、後から来る客も同じ価格でいいかと畳み込まれ、渋りながらも了承していた。ブースの男性は、隣ブースの男性へ涙目で窮状を訴えているようにも見えたが、果たしてこんな商売の仕方で利益はあるのだろうかと心配になる…。

 北朝鮮ブースの中には、最終日の昼にもなると、早々に撤収するブースが出始め、ここにも北朝鮮の慣習、社会主義の弊害か商売感覚のズレを感じさせる。しかも、無人となった北ブースに台湾企業が商品を持ち込み、ちゃっかり商売をしていた。さすが台湾商人、商魂たくましい。

免税特区やノービザ訪朝開始など中朝関係回復の兆しも


 さて、今回の博覧会の目玉の1つが博覧会初日に合わせて開設させた「丹東国門湾中朝延民互市貿易区」を紹介するコーナーだ。

 丹東国門湾中朝延民互市貿易区は、免税貿易区で、同様の区は中国全土に77か所が設置されている。中朝国境から20kmエリア丹東側住人限定で、1日8000元(約15万3000円)まで北朝鮮との売買が免税となる制度だ。

 しかし、対象商品は、米や食用油など食料品と衣類などに限られ、家電や工業製品など高付加価値製品は対象外となる。実際の制度開始は、来年4月となる見込み。

 中朝関係低迷と言われるが、中国側の北朝鮮への期待も大きい。たとえば、博覧会の会場がある丹東新区には、丹東市政府(市役所)がすでに移転し、会場すぐ隣には北朝鮮の領事事務所が今月、開所しており、新区の中心となる新鴨緑江大橋(無期限開通延期中)やようやく動き始めた北朝鮮領土の中洲でありながら中国と陸続きの黄金坪開発など、丹東は、北朝鮮との貿易、交易を前提にした都市計画を描いているため、北朝鮮頼りとも言えるのだ。

 丹東国門湾中朝延民互市貿易区が開設された15日には、鴨緑江対岸の新義州への中国人向けノービザ訪朝が始まるなど博覧会を起点に中国側の新たな北政策を感じさせていた。

⇒【写真】はコチラ http://hbol.jp/65817/07-23

<取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma


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