ついに見つけた安倍首相の筆頭ブレーンと「生長の家政治運動」の繋がりの証――シリーズ【草の根保守の蠢動 第19回・後編】

⇒【前編】はコチラ  安倍政権の筆頭ブレーンとされる日本政策研究センターの伊藤哲夫は、なぜ新興宗教「生長の家」のパンフレットを27年の歳月を経て自分の名義で再出版したのか? 彼と生長の家の繋がりとは何なのか?  もし、本当に伊藤哲夫と生長の家に関連があるなら、1984年以前の教団資料に彼の痕跡があるはずだ。それが見つかれば、確たる証拠となる。 「生長の家」は別名、「出版宗教」とも呼ばれるほど、膨大な出版物を出すことで有名だ。1984年当時の生長の家は、月刊の機関誌だけでも『生長の家』、『白鳩』、『光の泉』、『精神科学』、『理想世界』、『理想世界ジュニア版』と6種もの月刊誌を出版していた。(※3)それぞれ毎月最低でも80ページ近い分量を持っている。一年間で、80ページx6誌x12か月、都合5760ページはある計算だ。伊藤哲夫は1947年生まれでそのままストレートに大学を出ていれば、1969年に大学を出ていることになる。69年から84年までなので、15年間。そこで、この15年間の間に出された「生長の家」の機関誌全て――つまり最低でも10万9440ページをめくり、伊藤哲夫の名前を探す調査を行った。  その結果が、これだ。
理想世界

出典/『理想世界』昭和51年(1976年)11月号(日本教文社)より

 いた。確かに、伊藤哲夫の名前だ。  見つけたのは、『理想世界』昭和51年(1976年)11月号に掲載された、「天皇陛下御在位五十年と青年会運動<トップ鼎談>」という記事。鼎談の相手は、生長の家青年会の森田征史会長と安東巌副会長。当時の伊藤哲夫の肩書きは、「中央教育宣伝部長」だったらしい。  ご丁寧にもこの記事には、若かりし頃の伊藤哲夫の写真まで掲載されている。
伊藤哲夫

出典/『理想世界』昭和51年(1976年)11月号(日本教文社)

 やはり、伊藤哲夫は、『生長の家』の関係者だったのだ。関係者どころか、生長の家青年会の「中央教育宣伝部長」という歴とした幹部だ。だからこそ、生長の家青年会の森田征史会長や安東巌副会長と並んで「トップ鼎談」という企画に出ているのだろう。  で、あるならば。  伊藤哲夫は、「生長の家」教団が1983年10月に突如として政治活動を停止したため、教団での立ち位置を失い、一本独鈷として活動するために、やむなく「日本政策研究センター」を立ち上げたと考えるのが自然だろう。  これで、「生長の家」と伊藤哲夫は繋がった。  日本政策研究センターの設立から31年。今や伊藤哲夫は安倍首相の筆頭ブレーンと言われまでの存在となった。言い換えれば、「安倍首相の筆頭ブレーンは元『生長の家』の幹部」ということでもある。

安倍首相周辺は「生長の家」政治運動の深い関係

 ここでこの連載の第5回を思い出していただきたい。  この連載のメインターゲットの一つ「日本会議」を支える「日本青年協議会」も、「生長の家」学生運動からスタートしたものだ。「日本青年協議会」代表であり「日本会議」の事務総長である椛島有三氏が、生長の家の信徒学生たちとともに長崎大学でスタートした「学園正常化運動」こそが、「日本青年協議会」のルーツだ。  ということは、閣僚の8割以上を輩出し現在の安倍政権を支える「日本会議」も、安倍晋三の筆頭ブレーンと呼ばれる伊藤哲夫も、「生長の家」政治運動と切っても切れない関係にあるということである。  つまり、現在の安倍政権は、各方面から「生長の家」政治運動の関係者たちの影響下にあるということだ。  これは由々しき事態というほかないだろう。安倍政権が、特殊な思想を持った極めて限られた「インナーサークル」ともいうべき人々の影響下にあるわけで、まさに、「国難」と言ってもいい事態だ。  本連載は次回以降、「日本会議」や「日本政策研究センター」を始めとする「生長の家政治運動の関係者」魚住昭氏が「証言村上正邦」で指摘した「一群の人々」が、いかに安倍政権の周囲に蠢いているかの実態をお伝えすることに焦点を当てていく。ご期待願いたい。 <取材・文・図版/菅野完(TwitterID:@noiehoie
日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?

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