日本会議と日本青年協議会が目指すもの――【草の根保守の蠢動・番外編4】

日本の息吹

日本会議の機関誌『日本の息吹』

 2月に始まった本連載も、すでに半年近く経過した。ここで、本連載を今から読む方のためにこれまでのおさらいのため、すこし連載内容を振り返ってみよう。

【1】日本会議と安倍政権の繋がりについて

 安倍政権の閣僚のうちおよそ8割が日本会議に所属することを実際に閣僚名簿を元に、連載1回で確認した。さらに「集団的自衛権を合憲とする憲法学者」として与党が国会招致した憲法学者3名が、百地章氏をはじめとしてみな日本会議関連団体に所属していることを連載第9回で確認した。これらの事実から、安倍政権および自由民主党と日本会議との間に密接な関係があると断言しても問題ないだろう。

【2】日本会議の主張について

 こうして安倍政権に強いつながりを持つ日本会議が実際にどのような主張をかかげているかについては、連載第2回でその概略を振り返った。

【3】日本会議の運動手法について

 男女共同参画へのバックラッシュ・改憲・教科書採択など日本会議の運動目標は多岐にわたる。しかしその運動手法は、「活発な地方活動」で共通することを、連載第2回で指摘した。さらにその地方における活動の実態を、地方議員へのインタビューを通じて連載番外編第2回でお伝えした。

【4】日本会議と宗教団体について

 日本会議の特色は、その構成団体に多数の宗教団体を抱えている点にあることを、連載3回で、実際に日本会議の役員名簿を振り返る形で確認した。一方で、宗教団体の参画を元に安易に陰謀論的言説に逃げてしまう危険性を、連載特別企画の前半で強く指摘しておいた。なお、「宗教と政治」に関する議論の難しさや注意点については、国学院大学塚田穂高氏との対談のメインテーマの一つでもあるため対談記事を振り返ってもらいたい。

【5】日本会議の歴史について

 日本会議は1997年に発足した。しかしその歴史は前身団体である「日本を守る会」および「日本を守る国民会議」まで遡ることができる。さらにこの両団体の事務局をつとめ、現在も日本会議の事務局を担う日本青年協議会の歴史は、70年安保闘争の頃に出現した民族派学生運動に発端していることを、連載第5回で振り返った。

本連載の今後の予定


 日本会議の源流を作り、現在も日本会議の事務局を担う日本青年協議会の思想的背景については、前回の連載第12回で、彼らの内部資料に基づいてお伝えした。

 その内部資料として挙げたのが「神国への構想」という小冊子。この小冊子には「憲法改正ではなく、反憲法的解釈改憲」を基本戦略として運動を展開していくべきであるという「反憲テーゼ」が謳われている。

 この奇矯な「反憲テーゼ」の根拠となっているのが、生長の家の創始者・谷口雅春が提唱していた、従来の国粋主義や右翼思想とは毛色の違う、「宗教的愛国主義」ともいうべき独特の政治観だ。

 宗教法人としての生長の家教団は、1983年に「生長の家政治連合」(生政連)の活動を停止して以降、政治活動から撤退し、その後は完全に社会運動との関わりを絶っている。

 しかし、日本会議の事務局を担う日本青年協議会のように、現在も谷口雅春が唱導した「宗教的愛国主義」を奉じ、路線変更前の「生長の家」の主義主張を原理主義的に堅持し続けている人々が存在する。

 安倍政権の特徴は、日本会議・日本青年協議会のみならず、この「生長の家原理主義者たち」が政権の内外に多数存在する点にあると、筆者は見ている。

 そして筆者がこれまで調査した結果からは、2000年代以降顕在化したチャンネル桜や在特会に代表される「行動する保守」の台頭にも、この「生長の家原理主義者たち」が極めて深く関与している。

 今後、本連載では、日本会議・日本青年協議会をはじめとする「生長の家原理主義者たち」の動きをエビデンスに基づきながら解説し、安倍政権の誕生までの経緯や、「行動する保守」の濫觴について解説していく予定だ。

 手始めに次回は、「日本政策研究センター」の伊藤哲夫代表にスポットを当てる。

 伊藤哲夫氏の来歴や、「日本政策研究センター」の主張内容を解説することで、「生長の家原理主義者たち」が安倍政権周辺に構築したネットワークの一端が垣間見れることとなるであろう。

 ご期待願いたい。

<文・写真/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>


日本会議の研究

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