農産物の「特別栽培」表示では農薬使用の危険度はわからない

農産物 有機栽培や、農薬を使わずに農業を行う生産者の方々を訪ねると、「無農薬でつくっても、農薬を使っているものと一緒に出荷されると、消費者にはわからない」という悩みをよく聞く。一方、消費者が無農薬農産物を日常的に買わない理由は、「身近でないこと」だ。

 有機農産物や特別栽培、減農薬など「環境保全型」の農産物には、消費者が識別できるよう、「エコラベル」と呼ばれるマークがついているものが増えている。これらは、環境や安全を配慮して食材を買う消費者と、有機や無農薬栽培を行う生産者をどのようにつなげているのだろうか。

ネオニコチノイド農薬を禁止する「特別栽培」農産物は一つもない


 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンでは、環境保全型の農業で作られた農産物マークの概要や、環境やミツバチへの影響が近年指摘されるネオニコチノイド系農薬の使用との関係、有機・無農薬の農業につなげるインセンティブなどについて47都道府県にアンケート調査を実施。

 さらに、マークの意味と消費者のニーズはかみ合っているのか等の観点で意識調査を行い、このほど調査結果(※1)と、環境保全型農業による農産物マークをまとめた「農産物エコラベル一覧」(※2)を発表した。

 全国47都道府県への調査の結果、地域に応じて独自の工夫やさまざまな環境保全の観点を盛り込んだマークや仕組みを作っていることがわかった。しかし農薬の観点で着目してみると、各都道府県で認証する「特別栽培」農産物でネオニコチノイド系農薬を禁止する規定のある都道府県は一つもないこともわかった。

「特別栽培」は農薬を「まく回数」が少ないだけ


 背景には、「農薬をまく回数がその地域の通常の回数の半分以下」、と回数によって削減のカウントとする「特別栽培」の規定により、植物に浸み込み効果が持続する性質をもつ、つまり「まく回数」を少なくできるネオニコチノイド系農薬が使われてきた事情もあると見られる。

 だが、ネオニコチノイド系農薬は、EUではミツバチ等への影響が疑われることから2013年末に使用規制が始まった農薬。子どもの脳や神経の発達への影響も懸念されており「環境保全型」とは相容れない。早急に見直す必要がある。「農薬をまく回数」が少ないだけで、必ずしもほかの野菜よりも安全とは言い切れないのだ。

 一方、インターネットでの消費者意識調査からは、「特別栽培イコール無農薬」「特別栽培にはネオニコチノイド系農薬が使われていない」などの誤解もあることがわかり、単に特別栽培だというだけでは消費者に実態を正確に伝えていないといえる。

 特別栽培の認知度や、意識して購入する消費者の割合は11.3%と低く、「このマークのついた農産物ならば選ぶ」としたものは「無農薬」、「有機栽培」が上位1位、2位を占め、「特別栽培」は5番目で、わかりやすさやニーズの点からも、消費者意識とのずれがあることが見えてきた。

カギは消費者と生産者の距離が近くなること


 県による認証以外では、ネオニコチノイド系農薬を含むいくつかの系統の農薬を使わないことを基本としたマーク(高知県、群馬県渋川市)が運用されていることが分かり、こうした取り組みが普及することに期待したい。

 また、環境保全型農産物に「農薬の空中散布を認めていない・またはなんらかの規制をもうけている」県は5都府県(東京、大阪、神奈川、高知、岡山)で、農薬の使用の有無が明示されているマークは13県(宮城、秋田、山形、福島、福井、島根、山口、愛媛、高知、佐賀、熊本、大分、鹿児島)あり、西日本に比較的多い傾向があった。

 調査の結果から、「環境保全型」農業とのネオニコチノイド系農薬や農薬空中散布を、早急に見直すことが必要であると言える。さらに、無農薬や有機栽培であることが消費者に一目で分かる表示にし、生産者のインセンティブにもなるようにすることが急務だ。

 環境や生物多様性を重視してつくられた農産物が広く消費者に共有され、有機農業などの持続可能な農業(農産物)が広がるカギは、消費者と生産者が直接つながること。または明確な情報を介して、お互いの距離が近くなることだ。

 無農薬、有機栽培の情報がもれなく消費者に伝われば、生産者がそうした栽培をえらぶ動機が増し、消費者は選ぶ機会を与えられる。

 明確な情報がえられれば、一人一人の消費者は市場を変える力を持っているのだ。

文/関根彩子(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

※1 都道府県アンケート調査・意識調査の報告書 http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20150129_report.pdf

※2 「農産物エコラベル一覧~全国のエコラベル調べてみました~」 http://www.greenpeace.org/japan/ecolabel/


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