「今の日本」だからこそ聴きたい、故マリオ・クオモ元ニューヨーク州知事の演説

マリオ・クオモ

クオモの訃報を報じるNY times

 2015年が明けてすぐ、1月1日に82歳でその生涯を終えたマリオ・クオモ元ニューヨーク州知事。

 アメリカの各メディアは大々的にその訃報を伝えた。特に目を引いたのは、「元ニューヨーク州知事にしてリベラルの灯台 マリオ・クオモ 82歳で死去」と題したNY Timesの特集記事だ。

Mario Cuomo, Ex-New York Governor and Liberal Beacon, Dies at 82
http://www.nytimes.com/2015/01/02/nyregion/mario-cuomo-new-york-governor-and-liberal-beacon-dies-at-82.html?_r=0

 しかし日本では、あまりその存在を知られていないためか、各紙の訃報とも死去の事実を小さく伝えるにとどまった。

 人種的マイノリティーであること(クオモの両親はイタリアからの移民で英語ができなかった。またクオモはアメリカ政界ではとかく白眼視されるカトリックの信者であった)や、小さな弁護士事務所の弁護士であったこと、そして政界デビューのきっかけが市民運動であったことなどを含め、彼のキャリアは、オバマ大統領のキャリアに似ているところが多い。

 似ているのは、キャリアだけではない。

 クオモもまた、オバマ大統領と同じく、政界きっての名演説家として人々の記憶に残った。彼の演説は行く先々で人々の心をつかみ、大統領選への出馬をなんども期待されたのだった。

1984年の名演説


 そんな彼は数多くの名演説を残したが、中でも、2015年の日本に住む我々の胸を打つ名演説がある。

 それが、1984年の民主党全国大会での基調演説だ。

 民主党全国大会は、大統領選の指名候補を民主党として承認する極めて大事な行事の一つだ。例年、スター歌手や俳優がゲストとして招待され、お祭り騒ぎのような中で大統領選に出馬する候補と基本政策のお披露目が行われる。しかし1984年の民主党全国大会は重苦しい空気に包まれていた。ウォルター・モンデールを民主党大統領候補として選出したものの、この後は、絶大な人気を誇る現職のレーガン大統領と対峙せねばならないからだ。

 アメリカの有権者たちは、不況の元凶のように見えた社会福祉重視の経済政策や、人権外交の掛け声にもかかわらず発生したイランアメリカ大使館人質事件を理由に、民主党の打ち出す「優しいアメリカ」路線に飽き飽きしていた。

 その反動として、レーガンの唱える、新自由主義的な「レーガノミクス」やタカ派的な外交姿勢などの「強いアメリカ」路線を熱狂的に支持していた。

 事実、レーガンは前回の大統領選挙で、民主党の「優しいアメリカ路線」を徹底的に批判し殊更に「強いアメリカ路線」を打ち出すことで、地滑り的大勝利を収めていた。「優しいアメリカ」を見限り、レーガンに投票した民主党員がいたほどだ。おそらく今回の大統領選は、ひきつづき極めて困難な戦いになるであろう

 そんな情勢のなか、クオモは、民主党党大会の基調演説を引き受けた。

 この演説でクオモがとった戦略は、「レーガンの主張を真正面から否定する」そして「リベラルとしての原理原則を強調する」という極めてシンプルなものだった。

⇒【後編】新自由主義を否定し、「リベラリズム」を復権させたクオモの言葉(http://hbol.jp/19945)に続く

⇒【動画】クオモの民主党党大会の基調演説 http://youtu.be/LgIMIEXkcz8












<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>


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