「プリウス」は本当に危険か? 20代女性と40代男性がプリウスに乗ってみた

Nレンジでプリウス・ミサイル?

 また、シフトのレイアウトが分かりにくいという指摘も見かけた。確かに、昔ながらのAT乗用車のシフトレバーに慣れていると、プリウスのレバーは、ゲームセンターにあるアーケードゲームのレバーのようでかなり違和感がある。  40代男性は「NレンジからDレンジへはブレーキ踏まないで動かせるのも問題という声も見かけた。確かに、自分の車はブレーキ踏まないとNレンジのところでロックが掛かりはしたが、AT車はそうならない車のほうが多い。その上、プリウスの場合は、Dレンジにするためには、レバーを右に振ってから下げる必要がある。そのため、何かの拍子で間違えてDレンジにしてしまう可能性は考えづらいかな……」と語る。  また、昔ながらのAT車では見かけなかった、長い下り坂などで使う「Bレンジ」は、シフトレバーを下に軽く引けばいいだけだが、そもそもDレンジで走行中に操作するもので、NからBの位置に動かしても入らないため、それが「暴走」につながるとも考えづらい。  ただ、気になったのはプリウスのシフトレバーにはPレンジがないという特徴だ。Pがレバーとは別のボタンになっているのだ。そのくせ、ダッシュボードの表示では、R・N・Dの左斜め上に表示されている。昔のAT車の癖でPレンジに入れようとしてレバーを上げ、Rレンジに入れてしまうことはあるかもしれない。  事実、40代男性も「初め、Pレンジはシフトレバーを左上にするのかと思った。Pレンジに入れたつもりになって、誤発進してしまうことはあるかもしれない」と話していた。とはいえ、バック以外でも暴走事故は多発しているのでそれだけが問題というわけでもないだろう。  また、違和感としては、シフトレバーがNやD、Rレンジに動かしたあとも、必ず「起点」の位置に戻ってしまうことで、モニタ表示を見ない限り、目視でどこのシフトに入っているか分かりづらいとは思った。昔の車に慣れた中高年以上のドライバーであれば、もしかしたらここは慣れない点なのかもしれない。

プリウス・ミサイルを試してみるも……。

 5月末、「プリウスミサイルの原因確定!」というツイートが話題になった。それによると、Nレンジにレバーが入った状態でアクセルを踏んでしまい、そのままDレンジにシフトチェンジして暴走してしまうのではないかというのだ。  しかしいざNレンジに入れてアクセルを踏むと、すぐに警告音が鳴り「Nレンジです。アクセルを緩めて希望レンジに切り替えて下さい」という表示が出た。この警告が出たまま、不用意にDレンジに入れてしまうとは考えづらい。  ただ、Dレンジにシフトチェンジできないということではない。警告を無視してDレンジに入れると、そのまま発進することができるが、「ミサイル」というほどの威力はなかった。  これだけ事故が相次いでいるのだから、「プリウス自体が運転しづらいのでは?」と思っていた。しかし運転初心者でも難なく運転することができた。  では、プリウスの事故が多いのは、単に販売台数が多いからなのか。日本自動車販売協会連合会の調査によると、2018年の1年間にもっとも売れたのは、日産のノートで、13万6324台だった。次いで、トヨタのアクアが12万6561台、プリウスが11万5462台となっている。  販売台数が多ければ、事故も増えるというのならば、高齢者がプリウスを好んで乗っていない限りは、ノートやアクアでも事故が頻発するはずだ。  プリウスのせいなのか、そうではないのか? 今回の検証結果は、2017年式、つまり第4世代のプリウスでの実験結果であり、その前の世代については本記事では未検証だ。  ネットではさまざまな憶測が流れているが、これ以上暴走事故を増やさないためにも、抜本的な原因究明と問題解決が求められている。 <取材・文/HBO取材班>
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