東芝だけじゃない!コーポレート・ガバナンスを毀損し、日本企業を蝕む「プライド」の正体

東芝の上場廃止をどう受け止めるのか?

大熊:「上場廃止すべき」という声も高まってきています。 ベネシュ:私は’06年のライブドア・ショック後のライブドアで社外取締役をした経験からも、上場廃止はできるだけ避けるべきと考えます。上場廃止になれば、株主の保有する株は完全に流動性を失います。罪のない株主が一番、損害を被るわけです。そして東芝を訴えることでしょう。これは結局、関係者がみんな損をするワースト・ケースだと思います。  だから、半導体事業を売るにしても早くすべきです。継続企業の今後の基盤は何なのかを早く決めて、それ以外を早く売ることです。債務超過を避けて、東京証券取引所がその他の上場基準を寛大に解釈してくれれば、虚偽記載がない限り、上場廃止を免れることができます。そうしたら誰も訴訟しなくなります。 大熊:東芝はコーポレート・ガバナンス改革を担う中途人材を募集しています。このニュースについて、ベネシュさんは経済メディア「NewsPicks」のコメント欄で批判されていました。中途で、給料の安い人材を採っている場合ではないと。 ベネシュ:もっと早い段階から、しっかり報酬を支払って本当に必要なトップ人材、上層部人材を採るべきではないでしょうか。”東芝人”とはちょっと違う遺伝子をもったそういう人材は早くから探さないと見つかりません。そういう人材を呼べていないことが経営難の根幹にあります。  さまざまな日本企業に言えることですが、それでグローバル企業との競争に勝てるわけがないのです。10年以上前からかつての競争戦略が上手くいかなくなっている。なのに、方向転換できていないのは今の時代に沿った人材を揃えられていないからです。英語ができて、関連業界で経験がある方、およびM&Aや再生案の経験がある投資銀行出身者のような……。 大熊:社外取締役をもっと多く入れるべきという議論にも繋がると思うのですが、そういう人材はどこにいるんでしょうか? 日本にはそもそも社外取締役が務まる人材が少ないんじゃないかという批判があります。いろんな会社の経営を経験してきたグローバル人材なんてそんなにたくさんいるんでしょうか。

社外取締役の探し方に問題がある

ベネシュ:トップが危機感と責任感を持っていれば歯を食いしばってもそういう人材を探してきますよ。常日頃から意見を発信して人材を惹きつけるべきです。経営共創基盤CEOでオムロンの社外取締役を務められている冨山和彦氏みたいな人もいますし、東芝の次期社長候補として名前が挙がっているのは資生堂で会長を務めた経験もある社外取締役の前田新造氏です。このように人材はいるのですから熱意を持って広く口説けばいいと思います。いい人材を引っ張れる力で経営者の腕を評価すべきです。 大熊:ベネシュさんは「役員バンク」という社外取締役を探すデータベースを作られましたね。そうした問題意識が背景にはあるんでしょうか? ベネシュ:ええ。私は現在の社外取締役の探し方には問題があると思っています。ほとんどの社外取締役は、現経営陣の「人脈」から引っ張ってこられています。すでに知り合いの人か、知り合いから紹介された人。それは健全ではありません。もっとちゃんと裾を広げて検索すべきです。  また、「聞こえの良い名前」より自社に必要なスキル、経験、献身的な態度か否かで評価すべきです。そこで、MBAを持っているか否か、役員経験の有無、どの産業および機能部の経験があるかなど実績とスキルに基づいて社外取締役を探せるデータベースを作りました。  候補としてのボトムラインは役員の責務を果たすための基礎的なスキルが身についているかということですので、我々の役員研修を受講済みであることが必須としています。まずは企業の側で自社の取締役会のメンバーに必要な要件をマトリックスのような形で常に共有しているということが大前提です。 ※次回記事「『コーポレートガバナンス・コード』の提案者が語る、日本のコーポレート・ガバナンスの歴史」は近日配信予定 <文/大熊将八> おおくましょうはち○国内外の企業分析を行い、「週刊文春」「現代ビジネス」「東洋経済オンライン」「ハーバービジネス・オンライン」」などに寄稿。東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。3月12日には新刊『東大式 スゴい[決算書の読み方]』を発売予定。twitterアカウントは@showyeahok
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東大式 スゴい[決算書の読み方]

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