成長著しいベトナム。日本企業の進出で「鍵」になる要素とは?

 

ハノイはコンビニよりは一般商店で生活雑貨や菓子などを買ったりすることが今でも多い

首都なのに一号店出店の地にならないベトナム・ハノイの何故?

「ネクストチャイナ」が標榜されタイなどが注目を集める中、今度は「タイプラスワン」としてタイ周辺国に労働集約的な工程を周辺国に分散する動きが出始め、ミャンマーやカンボジア、ラオスなどが注目を集めている。  そんな中、立地的には恵まれているのに、頭角を現せていなかったのがベトナムだ。そもそもベトナムは、太平洋側に位置するため、日本にとって海運的に好立地で、タイより有利な場所にある。しかし、社会主義国であることから大手など体力のある企業でないと進出がなかなか難しいことが今ひとつ注目されていなかったのだ。  とはいえ、9000万人レベルの人口数はベトナムの潜在的な力でもあり、今でも注目する企業は多い。そのため、小売店や飲食関係なども進出し始めている。  ただ、興味深いのは、首都ハノイで第1号店を出す企業はほとんどなく、南部にある第2の都市ホーチミンに進出する企業ばかりであった点だ。ハンバーガーの「マクドナルド」やコンビニの「サークルK」、日系大手では「AEONモール」などがホーチミンに1号店を出している。ハノイは首都にもかかわらず、なぜか「1号店」に選ばれない地域だったのだ。

2015年になってハノイで数を増やし始めた「サークルK」。ベトナム1号店は2008年にホーチミンでだった

 しかし、そんなハノイも2015年に大きく変わり始めてきた。例えば、同年4月に米資本のコンビニ「サークルK」がついにハノイに出店し、10月には、2014年1月にすでにホーチミンに進出していた「AEONモール」のベトナム第3号店がハノイに出店した。「AEONモール」は日本の食材や調味料も手に入るようになったために在住日本人の喝采を浴びたのはもちろんだが、デパートのような大型ショッピングモールがなかったハノイでは画期的な商業施設として現地人の間ではかなり話題になっているようだ。  そんな変わりつつあるハノイの今後の可能性について、ハノイの不動産仲介業者「ハノイリビング」に勤める山中肇氏に話を伺った。氏は1997年からの4年間、そして再び2011年から現地に滞在しており、ハノイの今と昔をよく知る人物だ。
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ハノイ出店が後回しになる理由は「南北における国民性の差」
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