日中の経済的関係性は強まるが、中国語教育市場は伸び悩み

photo by geralt(CC0 PublicDomain)

 さまざまな問題はあれど、いまだ経済的な関係は密接な日本と中国。財務省貿易統計によれば、2014年の日中貿易の輸出入総額は32兆5579億円と2位の米国(21兆1919億円)を大きく引き離し、ダントツのトップに位置している。また、訪日観光者数においても、2015年6月には46万2300人とこちらもダントツの多さを誇っている。  そこまで無視できないほど大きな規模になっているならば、当然中国語教育市場も右肩上がり……と行きたいところだが、どうやらそういうわけでもないという。 「中国語市場規模は約70億円。それに対して英語の市場は約7000億円くらいと、市場規模は英語の100分の1程度と中国語は非常に小さなマーケットなんです。たとえば、実用英語技能検定(英検)の受験者は年間約200万人。ですが、中国語検定試験(中検)の受験生は約5万人となっています」

ドントコイの川崎亨代表取締役社長

 そう語るのは、オンライン中国語レッスン業界No.1である「CCレッスン」を運営するドントコイの川崎亨代表取締役社長。 「というのも、中国語は、通訳も安く雇うことができるため自分で学ぶ必要性があまりなく、簡単な挨拶くらいを話せればいいと言う生徒さんが少なくありません。また、日本では中国からの留学生や在住中国人も多いため、彼らを活用すればいいので中国語をビジネスで活かす受講する人は少なく、多くの生徒さんはヘビーな中国好きや旅行目的で学んでいる人のほうが多いんです」

日本人に中国語を学ぶメリットはあるのか?

 実際のところ、中国人相手にビジネスをするにしても、向こうのトップは英語も堪能な人も少なくないし、若い中国人の英語力も日本人以上になりつつある中では英語で十分問題はない。しかし、それでもまだ道具としての有効性があるという。 「日本人にとって中国語を学ぶことはとても有利なんです。中国語圏外で漢字を使っているのは、日本だけですし、アジアビジネスでは華僑がキーパーソンとなっている国も多いんです」  確かに中国、台湾は北京語(中国標準語)、香港台湾や香港はもちろんでも通じ、華僑中心のシンガポールはもちろん、華僑が多いマレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムでも華僑が多いため、空港やホテル以外では英語より中国語が通じる場所のほうが多いことすらある。  筆者は、以前、インドネシアへ出張した時に現地のSIMカード購入を頼まれたので、ジャカルタ市内の電気街で探すも英語が通じず、月額固定費や通話料を確認するどころか目的のSIMカードすらも探せずに途方に暮れていたところ、「オー台湾朋友~!」と奥から近づいてくる中年男性。聞くとこの店の経営者で、華僑らしく、お互いに片言の北京語だったが、意思疎通でき見事に目的を果たせたことがあった。 「俺たち華僑がインドネシア経済を牛耳っているんだよ。あの店の彼も、あの店の彼も華僑の経営者だ」と自慢げに華僑経営者は教えてくれた。  さらに聞くと彼はイスラム教徒ではなく仏教徒なので酒も飲むということで、その後、一緒に食事へ連れて行ってもらい色々と教えてもらった。この時、初めて中国語の道具としての可能性のすごさを実感した。  インドネシアを始め東南アジアへ渡った華僑たちは、元々は中国の南方言語である広東語を話していた。しかし、現在は、時勢の変化もあり、現実主義な彼らは北京語も学び話せる人が増えている。ちなみに著者の中国語は日常会話レベルであるが、それでも、十分にコミュニケーションは成立する。  アジアを舞台にビジネスをする中では、有効性はあるのだ。  グローバルエリートであれば、英語以外にもう一言語話せる人も少なくない。英語は喋れて当たり前。もう一言語というときに、中国語は選択肢として有効になってくるはずだ。 <取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma
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