「勝者総取り時代をどう生き抜くべきか」藤沢数希氏

駿台、河合と並んで「三大予備校」の一角だった代ゼミが校舎の7割を閉鎖することが明らかになった。少子化や現役志向などいくつかの原因が語られているが、代ゼミの衰退からは、ほんの一握りだけが総取りする「スーパースター現象」が浮かび上がってくるという。

代々木ゼミナールの大リストラでわかる「少子化」と「スーパースター経済」【後編】(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

⇒【前編】はコチラ
ナガセ

東進ハイスクールを運営する株式会社ナガセの売上高推移。代ゼミの業績が悪化する一方で、ネット授業と担任制で順調に業績を伸ばした(出所:株式会社ナガセ)

 代ゼミの衰退は日本の少子化の象徴であるが、もう一つの重要な社会構造の変化は、IT革命によって、「スーパースター経済」が、歌手やスポーツ選手だけでなく、多くの知的職業に波及し始めたことだ。芸能やプロスポーツの世界では、ほんの一握りのスターだけが信じられないような高額の報酬を得る一方で、ほとんどの歌手や選手が極めて低い報酬で下積みに甘んじている。「いつやるか? 今でしょ」でおなじみの現代文講師の林修氏をはじめ、東進ハイスクールの人気講師は数千万円の年収を得ているという。代ゼミなどの人気講師を高額の報酬で引き抜いてきたのだ。こうしたスター講師が、外資系金融機関のトレーダーのような報酬を得る一方で、代ゼミは大規模なリストラを実施し、多くの予備校講師が路頭に迷うことになる。  スーパースター経済により勝者総取りがますます進行する21世紀には、東進ハイスクールに通って東大に入ったぐらいでは、知的職業での将来の成功をなんら約束しないのだ。やはり林修氏が言うように、「ほかですべて負けてもいいから、自分が勝てる場所でとことん努力する」というのがスターに一歩近づくためには重要だろう。 【今週の数字】 ’14年の18歳人口 118万人 18歳人口は’90年代前半には200万人を超えていたが、その後、少子化が進み減り続け、’14年には118万人にまで減少している。今後、さらに減少を続けていく 【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」管理人。恋愛工学メルマガも発行する。cakesでは恋愛小説も連載中
外資系金融の終わり

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