オリンパス事件の闇。「指南役の共謀否定」判決は何を物語る?

日経平均の12連騰から「バブル」も意識され出した日本経済。確かに株式市場は好調だが、実は先行き不安を駆りたてる悪材料もある。マーケットの裏の裏まで知り尽くした闇株新聞が注目ニュースを総ざらい!

指南役の判決で共謀が否定されたオリンパス事件

菊川剛元社長兼会長

’12年9月、弁護士とともに初公判に臨んだ菊川剛元社長兼会長(真ん中)。’13年7月に有罪判決が下されたが、旧経営陣らは控訴しなかったため早々と刑が確定した

 過去の事件として忘れ去られているかもしれませんが、オリンパス事件が新たな局面に入っています。振り返っておくと、この事件は’07年3月期から’11年3月期の有価証券報告書において、各年度の連結純資産を416億~1178億円も不正に計上した金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)でした。それにより、法人としてのオリンパスに罰金7億円、時効になっていなかった5期分の有報に虚偽を記載した菊川剛社長(当時)ら3人に執行猶予付きの有罪判決が確定しました。  一般には巨額損失隠し事件と理解されていますが、実際の罪状は異なります。簿外に隠されていた損失をさまざまな取引で帳簿内に取り込んだ(つまり表に出した)ところ、「のれん代」などで計上した資産が不正なものだった、というだけなのです。つまり、肝心の簿外に隠した行為と、その過程で群がって暴利をむさぼった金融機関やオリンパス関係者による犯罪的な関与は見逃されている。それだけでなく、責任を外部の“指南役”と称される人物になすりつけています。一審で有罪判決を受けた中川昭夫氏(間もなく控訴審が実施されるようです)と、7月1日に一審判決を迎える横尾宣政氏らです。  中川氏には昨年12月に懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が下されましたが、この判決は非常に興味深いものでした。菊川氏らの裁判では指南役が積極的に損失隠しに関与したとの証言が繰り返され、その証言が認められたにもかかわらず、中川氏には「共謀したとは認定できない」として、「ほう助」での有罪が言い渡されたのです。そもそも金融商品取引法に「ほう助」はありません。さらに、この判決を下したのは菊川氏らに有罪を言い渡した裁判長と同じ人物です。想像するに、「特捜部が起訴した経済事件なので無罪にはできない」という判断から下された、「形だけの有罪判決」だったのでしょう。仮に、横尾氏らの一審判決でも同じように共謀が否定されるようであれば、検察のシナリオは完全に覆されます。そして、すでに法人としてのオリンパスと菊川氏らの刑は確定していますが、こうした指南役を巡る裁判は、今後のオリンパスの行方を大きく左右しかねないのです。

オリンパス米国子会社を調査していた米司法省

 5月8日にオリンパスは「当社子会社に対する米国司法省の調査に関わる特別損失の計上及び通期連結業績予想と実績値の差異に関するお知らせ」なるIRを出しました。オリンパス米国子会社の医療関連事業に関して、’11年11月時点より米国司法省の調査を受けており、それにより’15年3月期の最終損益を従来予想の450億円の利益から87億円の損失に修正するというかなり重大なものでした。  一見すると、オリンパス事件とは関係のない話のように思えますが、実態はもっと深刻です。というのも、’11年11月とはまさに事件が発覚していた時期。つまり、米国子会社の調査に専念していたため、米国司法省は事件についてはだんまりを決め込んでいた可能性があるわけです。オリンパスには当然のことながら米国にも大勢の株主がいます。必ず米国司法省とSEC(証券取引委員会)が調査・捜査に入ると思っていました。それが、いよいよ本格化しそうなのです。一体、どれほどの和解金、ないしは罰金を課されることになるのでしょうか? 指南役を巡る裁判から会社側の責任の大きさが浮かび上がってくるようなら、オリンパスを揺るがす巨額の罰金が課される可能性も出てくるでしょう。
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