シャープ救済の優先株は高利貸しも唖然とするスキームだった

日経平均の12連騰から「バブル」も意識され出した日本経済。確かに株式市場は好調だが、実は先行き不安を駆りたてる悪材料もある。マーケットの裏の裏まで知り尽くした闇株新聞が注目ニュースを総ざらい!

シャープの優先株割当でヘッジファンドが暗躍?

シャープの高橋興三社長

5月に経営再建計画を発表したシャープの高橋興三社長。3500人の希望退職募集、本社売却などリストラ策で'17年度に営業利益1200億円を達成するというが……

 減資に踏み切ったシャープは早々に食い物にされて潰れる公算が高まっています。’15年3月期は予想どおり、前期の115億円の黒字から一転、2223億円もの赤字に転落しました。結果、単体では60億円ほどの債務超過に陥っています。これを受けて、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が各1000億円のA種優先株を引き受け、メガバンク3行やドイツ銀行東京支店などが出資する「JIS」なるファンドにも250億円のB種優先株を割り当てると発表しました。私は、この優先株発行の裏側ではヘッジファンドが暗躍していると見ています。  というのも、A種には平成33年7月1日以降、額面の110%に未払い配当と経過配当を加えた金額での買い取り請求権が付与されています。つまり、シャープに財産が残されていれば、有無を言わせず10%以上のプレミアムを加えて優先株を買い戻させることができてしまうのです。B種はさらにえげつない。配当が平成30年まで7%、それ以降は8%という高利貸並みの利率で、しかもその配当はすべての支払いに優先するのです。当然、こちらにも現金による買い取り請求権がついています。つまり、日本の金融機関には思いもつかない、“必ず儲かるスキーム”となっているのです。  一応、A種、B種ともに転売制限が付されているようですが、株式転換権だけをリパッケージしたものがヘッジファンドに渡り、シャープが食い物にされていく様子が目に浮かびます。
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