公共放送の受信料、韓国は日本の5分の1、欧州は高め。日本より厳しく徴収する国も

 未払いの正当性を主張する者と、支払いが義務であるという立場をとるNHKが対立している「受信料」の問題。先日、注目すべき判決が出ました。世界各国の受信料事情を見ながら、この問題を考えます。

受信料に関する東京高裁の判断

image

画像はイメージ(adobe stock)

 NHKの受信料についての裁判で、注目すべき1つの判決が出ました。NHKの放送を受信できないテレビを設置した文京区の女性が、受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた裁判で、東京高裁の広谷章雄裁判長は24日、女性の主張を認めた東京地裁の判決を取り消し、請求を棄却する決議をしました。  原告の女性は、大幅にNHKの信号を弱めるフィルターのついたテレビを使用していました。これについて、東京地裁は昨年6月にこのテレビを「NHKが受信できるテレビとは言えない」として、契約締結義務を追わないものと判断を下していました。しかし今回、広谷裁判長は「NHKを視聴できなくする機器をテレビに取り付けても、元に戻せる場合は契約締結義務を負う」として、請求を棄却しています。

これまでの訴訟

 こうした受信料の徴収に反対する声が高まったのが2004年。紅白歌合戦の担当プロデューサーによる制作費の不正支出が発覚すると、いくつもの不祥事が白日のもとに晒されました。それを受けて、受信料の不払いが続発するようになったのです。そうした事態に対しNHKは、2006年から未払い者への督促を開始し訴訟に発展するケースも頻発しました。  大きな判決となったのは2017年12月6日、最高裁が「テレビがあればNHKと受信契約を結ぶ義務がある、とした放送法の規定は『合憲』」という判断を下したもの。それでも、現在まで受信料の支払いを拒否を主張する人は少なくありません。
次のページ 
受信料の歴史
1
2
3
ハッシュタグ
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会