自動運転の実現が迫る国はどこ?「準備指数2020」からみる各国の現状と日本の課題

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imageteam / PIXTA(ピクスタ)

「自動運転車」実現にもっとも近い国ベスト10は?

 コンサルティング企業・KPMGが、「自律走行車の準備指数2020」(AVRI 2020)を発表した。  同リポートでは、世界各国における自律走行車の研究開発レベルが評価されている。なお同指数は2018年から報告されている。今年のレポートは「政策と法律」「技術と革新」「社会インフラ」「消費者の受容」の4側面を軸に、24の変数を考慮して分析された。指数がトップ10のランキングは以下の通りになっている。 1位:シンガポール 2位:オランダ 3位:ノルウェー 4位:アメリカ 5位:フィンランド 6位:スウェーデン 7位:韓国 8位:UAE 9位:イギリス 10位:デンマーク (11位:日本)

トップ3の国は何が違うのか?

 1位を獲得したのはシンガポールだった。同国では、自律走行車の使用を奨励するさまざまな政策が展開されている。2019年1月には、政府がAIガバナンスのフレームワークと自律走行車の国家標準「TR68」の草案を発表。2020年1月には、実際の使用例とAIを開発する際の考慮事項などを加えてTR68を更新している。その後、3月にはシンガポール南洋工科大学がボルボと自律走行電気バスをリリースしている。  2019年10月、シンガポールでは西部地域のすべての公共道路を対象に、自律走行車の試験面積を拡大した。また、2022年からシンガポールの新都市3カ所を対象に、自律走行バスを提供する計画だ。自律走行バスの安全走行のために、100人のバスの運転手に再教育も実施している。  2位はオランダだ。2018年から1位となっていたオランダは、今年シンガポールにその座を明け渡した。しかしながら、自律走行車に関する規制や政策・立法分野で最も優れた成果をみせた。また、自律走行車の導入のための前提条件のひとつである「高品質の道路状況」という評価項目で高得点を獲得した。 2019年にスマート交通信号灯など機器の設置を拡大し、自律走行車を無線で制御できるようにした。  オランダは欧州連合(EU)の窒素汚染制限基準を超過し、2020年3月から車両の制限速度を下げた。レポートでは、このような措置がオランダにおける自律走行車の導入を増加させると予想している。  3位はノルウェー。同国では2019年から自律走行車の使用を拡大した。現在、オスロ内にあるみっつのバス路線には運転手がいない。特定の制限を設けずに、すべての人が自律走行車にアクセスできるよう関連内容を法制化した。無人のバスサービスがすでに馴染み、人々は懐疑的な様子もみせないという。オスロ空港の除雪作業も自律走行車が行っており、自律走行ボートも運用されている。  ノルウェーの関連業界ではリスクを分析し、道路内の自律走行車の最高速度を10〜12マイル(16〜19km / h)まで高めることができるという結論を下した。加えて16マイル(25.7km / h)まで追加引き上げを検討している。
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アメリカは意外にも4位。日本の課題は?
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