よく聞くけど実は知らない「アドラー心理学」。無駄な悩みを解消する「課題の分離」がスゴい

 SNSが発達して他人の人生が見えるようになり、人々は容易に人の人生に干渉したり、されるようになった。最近、その行きすぎた干渉が誹謗中傷となり、それによって精神的苦痛を受けた著名人のニュースをよく目にする。

「こうあるべき」の押しつけあい

幸せなイメージ

photo via Pexels

 今に始まった話ではないが、人は他人の人生に干渉しすぎているし、干渉されすぎている。他人の人生まで自分の人生の一部になってしまい、それが思い通りになるように干渉してしまう。  私たちは、人に干渉したり、人に干渉されると感情的になることがある。例えば、職場で部下が思い通りに働いてくれないとき、奥さんと価値観が合わなかったとき、SNSにアップした内容が批判されたときなどだ。  自分のなかにある「こうあるべき」に反していることを目にすると、それに対して心が反応して、怒りや不快感を感じたり、攻撃をしてしまう。芸能人の不倫のニュースを見たときに怒りを感じて、その人のSNSを攻撃してしまう人が、また他人の「こうあるべき」を強要されると、自分のなかの「こうあるべき」と反発を起こしてしまう。他人が自分の思い通りに動いてくれないというストレスを抱えてしまうのだ。

「課題の分離」とは何か 

 そういうときに、こみ上げる怒りをコントロールする方法として、「感情抑制」をする人がいるが、それはダムのなかに負の感情を堰き止めることであり、いつかダムが崩壊して感情が溢れ出してしまう。そして、溜まった感情が多いほど、強力な暴力となって周りや自分自身を攻撃してしまう。これは、他人事ではなく、私自身も同じことを感じることがあった。  しかし、最近、アドラー心理学にある「課題の分離」を意識することで、この感情を上手く扱えつつあるように感じる。  課題の分離とは、アドラー心理学の考え方だ。多くの人が「自分の課題」と「他人の課題」をゴチャ混ぜにしてしまっており、自分がどうにかすべきでない問題や、自分がどうにもできない問題に頭を悩ませてしまっている。そして、結果としてどうにもならなかったことで更にストレスを感じる。
次のページ 
自分を変えることで結果的に他人をも動かしていく
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会