高まる中国人の「リベンジ消費」欲。コロナ後に行きたい国1位は日本!「爆買い」を待ちわびる中国人の本音

中国人観光客

2月、春節休暇に訪日して買い物をする中国人観光客。この頃、まだ日本国内では感染拡大は起こっていなかった 写真/時事通信社

 ようやく国内移動の解禁が迫り、観光業界からは期待の声が上がっている。一方で桁違いの経済効果をもらたしてきた中国人観光客の訪日解禁を望む声も多い。中国でコロナによる都市封鎖・外出禁止を経て生まれた新語「リベンジ消費」は日本にも恩恵をもたらすのか!?

果たして「爆買い」の第2波は襲来するか?

 北京で再び感染者が増えつつあり、取り戻した日常が逆戻しるす可能性もあるが、ひとまず日本より先に日常を取り戻していた中国では、人々の消費がコロナ禍以前をしのぐほど活発となりつつある。  ロックダウン解除後の最初の大型連休となった5月1~5日の「労働節連休」には、延べ1億1500万人が国内観光に出かけ、約7175億円の経済効果をもたらしたという(中国大手旅行サイト「Trip.com」調べ)。  そんな中国で今、浸透しているのが「リベンジ消費(報復性消費)」なる新語だ。これまで抑制的な生活を強いられていた反動から、ロックダウン解除とともに堰を切ったように消費意欲を爆発させる行為を指す。  そして、そのリベンジ消費の矛先は日本へと向かいつつある。4月に行われた「中国人がコロナ後に行きたい国」調査(日本インバウンド・メディア・コンソーシアム調べ)では2位のタイを大きく離して日本が1位に。また、渡航制限が解除されれば、日本へ行ってカネを使いまくりたいという声が、中国のSNS上に溢れている。 「また表参道をブラブラさせて。絶対買う、買う、買う!」 「コロナが落ち着いたら、また大阪に行って買いまくる!!」  中国版ツイッター「微博」には、日本での爆買いを予告するような書き込みが数多く投稿されている。さらに在中国日本大使館の公式アカウントによる、初夏の京都の魅力を伝える投稿には「いつになったら日本に行けるようになりますか?」「私を日本に入国させてください」と、渡航解禁を待ちきれない人々からの懇願のような声も寄せられているのだ。 「日本旅行」のハッシュタグがつけられた投稿の閲覧回数は、初出の’10年以降の10年で45億回を記録しているのだが、武漢封鎖が解除された4月8日以降の2か月だけで閲覧数は3億回以上増えており、収束とともに日本旅行への関心が急激に高まっていることがデータ上でもわかった。  訪日意欲の高まりを受け、中国メディアも「コロナ後に行きたい日本の観光スポット」といった特集を盛んに組んでいる。インバウンド評論家の中村正人氏は言う。 「中国人の対日イメージは、国交回復以降、最も良好といわれていますが、理由は多くの中国人が実際に日本を訪れたからです。渡航が解禁されたら、戻ってくるのは間違いないでしょう。アメリカやオーストラリアのように、民間人である彼らをあからさまに排斥する雰囲気が日本にはないことも大きな理由です」  では、彼らは具体的に訪日時にどんなものにカネを使いたいと思っているのだろうか。

調理グッズやアイコスに殺到

 微博の書き込みでまず目につくのが「化粧品を爆買いしたい」というものだ。広東省在住の30代の中国人女性はこう話す。 「コロナの影響でEMS(国際スピード郵便)がストップし、個人輸入代行業者や転売業者から入ってこなくなった。だから日本ブランドの化粧品が品薄になっているんです。愛用の化粧品が手に入らない人は、国産品で代用する気にもなれず悶々としている。特に口紅は、中国に正規店があっても日本でしか手に入らない色があったりしますから。私もSUQQUのリップを愛用していて、早く日本に行って買いだめしたい!」  次に目立ったのが、マーブルコートのフライパンや、セラミック製三徳包丁、ピーラーなどの調理グッズを買いたいという声だ。 「感染症への不安が残っていることもあって、中国でも今、自炊ブーム。日本にしか売っていないようなキッチン回りの便利グッズの需要はかなり高い。妻は中国人ですが、日本のロフトや東急ハンズのようなところで爆買いしたいと常々言っています」(上海在住の40代の日本人男性)  他方、インバウンド専門のビジネスコンサルタントの男性は、ある日本製の“禁制品”を挙げる。 「中国では販売が許可されていないアイコスです。郵送もできず、これまでハンドキャリーで持ち込まれていましたが、人の往来の停止を受けてヒートスティックの在庫がなくなり、中国ではアイコス難民が急増中。アイコスはどこも定価販売なので、税金分が安くなる免税店などでは渡航解禁後にキラーコンテンツになるでしょう」  ’15年に流行語大賞にもなった「爆買い」の第2波を予感させる事態が進行しているのだ。  一方、リベンジ消費の「場所」や「コト消費」としては、北海道や沖縄など、雄大な自然を味わえるところが多数挙がっている。これまでになかった傾向のものとしては「日本でキャンプがしたい」「BBQをしてみたい」という声だ。コロナ禍を経て、中国でもアウトドア志向が強まっているのかもしれない。
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