自己啓発&スピリチュアル系本に潜む落とし穴。「直感」を信じていい人、ダメの人はココが違う

 自己啓発本だけでなく、特にスピリチュアル系の本には「自分の直感を信じなさい」「あなたの潜在意識が正しい答えを教えてくれる」という言葉がよく出てくる。

直感=ラクなほうではないか?

迷路のイメージ画像

photo via Pexels

 また、成功者の名言にも直感に従うことを促す言葉がある。例えば、スティーブ・ジョブズは「心と直感に従う勇気を持ちなさい。それは、あなたのなりたいものが何か知っている。それ以外は、二の次でいい」と述べている。  こうして、人生を変えようと思っている人が、そのような言葉に鼓舞されて、「よし、今日から私も直感に従った生活をしよう!」と行動に移すかもしれない。たしかに、自分に正直に生きることができるので精神的にラクになる。  しかし、同時にラクなほうに逃げてしまうことで「よりよい生活を手に入れる」ことを手放すことにもなりかねない。スピリチュアル的な、病んだ心の救済にはなるかもしれないが、人生を成長と共に変えたいと思っている人が直感を信じても、何も変わらない可能性が高いのだ。  実は、あなたが人生を変えるために、「直感を信じる」というのは、半分正しくて、半分間違っているのだ。なぜなら、直感はあなたがしっかり“教育”しなければ機能しないからだ。  今回は、外出自粛中だからこそ、修行のように、家でじっくり直感を磨く方法について解説を行う。

行動経済学に基づく直感のメカニズム

 行動経済学では、脳には2つの思考モードがあると言われており、それが、「システム1」と「システム2」である。以下がシステム1と2に関する簡易的な解説だ。  システム1:自動的に高速で働く。努力は全く不要か、必要であってもわずか。自分でコントロールしている感覚は一切ない。蓄積された知識に基づいた直感や、生理的条件反射、簡単な計算のときに働く  システム2:複雑な計算や注意力を要する作業など頭を使わなければできない知的活動で働く。自分の対人関係でのふるまい(作法、マナーなど)に対する注意、本の中にある文字を探す、記憶を辿るときなどに働く。  直感はシステム1の活動であり、熟考はシステム2の活動である。人間はシステム1がメインで活動をしており、システム2の能力はごく一部しか使われていない。  そして、システム1は過去の経験や学んだ事に基づく、思考のショートカットでもある。意識的な意思決定を繰り返すことで、無意識的に同じ意思決定を行えるようになるのだ。  例えば、車の免許を取得するために、教習所では、最初はアクセルやハンドルの操作など多くのことを意識的に行う必要があったはずだ。しかし、だんだん無意識的に操作ができるようになる。
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直感をうまく利用するための下準備
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