どうしたら「上から目線の嫌な上司や先輩」を脱することができるか? 前置きひとつで印象は大違い

 トップダウンの指示・命令ではなく、相手を巻き込む5質問を駆使して相手を巻き込んでいく。しかし、相手を巻き込む5質問が大事だという説明を何度受けても、その記述を何度読んでも、聞いたり、読んだりしただけでは、実践の場面で繰り出せない。

理屈よりも行動で身につける

サポートのイメージ画像

photo via Pexels

 相手を巻き込む5質問ではなく、指示・命令に終始してしまったり、途中から気づいて相手を巻き込む5質問に切り替えたりするケースが実に多い。しかし、これでは、相手を巻き込む5質問の効果は全く期待できない。最初に指示・命令をしてトップダウンのマネジメントを繰り出してしまっているからだ。 図表<相手を巻き込む5質問> 1.やってみてどうでしたか? 2.うまくいったことは何ですか? 3.うまくいかなかったことは何ですか? 4.どのように改善したいですか? 5.サポートを得たいことは何ですか?  こうした例は、相手を巻き込む5質問が大事だということを頭だけでわかっているケースで多発する。頭だけでわかっているので、実践の場面では、普段から染みついてしまっているトップダウンの指示・命令が出てしまうのだ。それもとっさのときに繰り出されるのは、普段している言動なのだからだ。  むしろ、頭でわかっている必要はない。5つの質問をスマホで自撮りしながらロープレし、ロープレするたびに録画を再生して自分で確認するということを何度か繰り返していくと、頭ではなく話法を繰り出すというという行動と話法で身につけることができる。そうなると、とっさのときでもトップダウンの指示・命令ではなく、相手を巻き込む5質問の方が先に言葉に出るようになる。  このように申し上げると、「それはそうかもしれないが、とっさの場面でも言葉に出るようにするには、長年の経験が必要なのではないか」という反応に接することがある。

上司としての立ち位置に不安

 しかし、実際には長年の経験は必要ない。2時間、集中的に反復演習すれば、ほとんどの人は相手を巻き込む5質問を繰り出せるようになる。そして、その後、1か月程度、常に指示・命令したくなる前に、相手を巻き込む5質問を繰り出すことを心がけて過ごしてもらう。すると、相当程度、スキルが定着する。  このようにして、スキルを定着してもらうわけだが、その過程のなかでよく受ける質問に、「相手を巻き込む5質問をするだけで、指示・命令をしなくてよいのか」というものがある。「相手を巻き込む5質問をして、部下や後輩の言うことを聞いて、しまいにはサポートを得たいことを聞いてサポートしてあげるとは、部下や後輩の言いなりになっているだけではないか」という意見だ。
次のページ
部下への指示・命令を効果的にするには
1
2
ひとつの質問で合意形成できる! ビジネススキル急上昇 日めくりドリル

ひとつの質問で、合意形成できる! 1日1問で確実にデキるようになる! 年間100社・5000人、20年以上実践してきた能力開発プログラム

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会