「統一教会」のダブスタについて、教団と近い政治家や論客の見解を聞いてみた<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第26回>

教団メディアも報道。最高権力者が”国家復帰”を2世に指示

 この大学生たちは統一教会の第一地区(山梨県を含む関東)の2世信者で、指導者養成のための特別修錬会「TOPGUNユース2020」(12/28~1/3)に参加するため渡韓していた。修練会最終日に行われたTOPGUNワークショップでの2世信者たちの様子を教団メディアのU-ONE NEWSとPeaceTVが報じている。 ◆世界平和統一家庭連合公式チャンネル U-ONE NEWS 2020年1月10日号 FFWPU PeaceTV HJグローバルニュース (2020年1月11日)
2世修練会で韓鶴子総裁の言葉に涙する2世信者たち

2世修練会で韓鶴子総裁の言葉に涙する2世信者たち(U-ONE NEWSより)

 では今回の2世たちの一連の活動は何を目的として行われたのか。教団メディアの報道映像には最高権力者・韓鶴子総裁が「“韓日”関係悪化改善の努力が韓国の為政者に影響を及ぼした」と評価した上で、日本人2世たちに統一原理を日本の国教にするという”国家復帰”を指示する様子が映っていた。
“国家復帰”を2世信者に命じる韓鶴子総裁

“国家復帰”を2世信者に命じる韓鶴子総裁(U-ONE NEWSより)

 韓鶴子総裁を”真の母”として崇拝する2世信者たちは、国家復帰の命を受け無条件の忠誠を誓う。

偽装勧誘員が成果をスピーチ

 TOPGUN研修を受ける2世の中に見覚えのある顔があった。壇上から伝道活動の成果として「証し」をスピーチするその女性2世信者を番組キャスターはこう紹介した。 「西東京杉並教区・篠崎瑞奈 青年宣教師は、海外宣教活動を通して、真の父母様の心情を相続し、多くの霊の子女を復帰していることを証しし、より一生懸命活動することを決意しました」  この“篠崎宣教師”は普段、新宿駅南口で正体と目的を隠した伝道活動を行っている偽装勧誘員だ。
伝道成果を発表する2世信者であり偽装勧誘を行っていた篠崎宣教師

伝道成果を発表する2世信者であり偽装勧誘を行っていた篠崎宣教師(PeaceTVより)

 以下の画像は昨年(2019年)7月、新宿駅南口での“篠崎宣教師”による偽装勧誘の現場を捉えたものだ。  勧誘現場で筆者が「2世信者勧誘員による正体と目的を隠した偽装伝道」であることを指摘すると、篠崎宣教師は宗教勧誘を否定し「青年アンケート」と抗弁。自らが教団2世であることも当初否定し「スクール(筆者注:ビデオセンター)の卒業生」と被勧誘者に説明。「伝道ではなく、道を伝えてます。人生の目的とか」と苦しい言い訳に終始した。
街頭で偽装勧誘を行う篠崎宣教師

街頭で偽装勧誘を行う篠崎瑞奈宣教師・(2019.7 撮影:鈴木エイト)

韓国メディアも関心を示し何度も報道されたと伝えるPeaceTV

「韓国社会からも注目が集まり、メディアも関心を示し何度も報道がなされた」と伝えるPeaceTV

 教団系メディアはこの謝罪行脚に対する韓国国内での報道を紹介し関心の高さを報じた。
次のページ
事あるごとに発覚する、同じ「統一教会」での矛盾
1
2
3
4
5
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会